(26日、第107回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 静岡1―0東海大静岡翔洋) 三回裏1死三塁で、静岡のエース吉田遥…
(26日、第107回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 静岡1―0東海大静岡翔洋)
三回裏1死三塁で、静岡のエース吉田遥孔(はるく)投手(3年)がこの日初めて打席に入った。「絶対決めてやる」。狙っていたスライダーをはじき返し、左中間を破る二塁打になった。
打順は9番だが、中軸を打てる実力があると池田新之介監督は信頼する。「投打の柱」が、この日両チームで唯一の得点をたたき出した。
マウンドでは苦しい投球だった。制球が定まらず、四回は無安打で満塁とされるなど五回まで4四死球を与え、毎回走者を出した。
センターから本塁方向への強風が味方した。打者に不利な風向きのため「多少甘く入っても、打球は押し戻される」と判断し、高めの直球を効果的に使って得点を許さなかった。
投げ急いで体重移動がうまくできていなかったが、五回終了後の休憩時、投球時に足をつくタイミングを直すよう池田監督から助言を受けた。すると、「うまくはまった。後半は感覚をつかんだ」。試合中でも修正する力には自信がある。今大会はずっと本調子ではなく、毎試合、体の使い方などを調整しながら投げてきた。
制球が落ち着き、六回は初めて三者凡退。その後も九回まで安打を許さず、二塁を踏ませなかった。
決勝であたる聖隷クリストファーは、昨夏の準決勝で逆転負けした相手。1点リードの九回表、集中打で聖隷に2―3と逆転された。吉田投手は逆転後の九回1死二塁から救援し、追加点は許さなかったが、チームはそのまま敗れた。悔しさは心に刻まれている。「今日つかんだ感覚で投げて、絶対優勝したい」(斉藤智子)