<2025年全国高等学校野球選手権滋賀大会:綾羽6-3滋賀学園>◇20日◇3回戦◇マイネットスタジアム皇子山 昨夏の準優…
<2025年全国高等学校野球選手権滋賀大会:綾羽6-3滋賀学園>◇20日◇3回戦◇マイネットスタジアム皇子山
昨夏の準優勝校・綾羽が3季連続の甲子園出場を目指した滋賀学園を下して初優勝。春夏通じて初の甲子園出場を決めた。
1回表、滋賀学園は二死三塁から4番・吉森 爽心内野手(2年)ライトへの適時二塁打で先制。さらに相手のバッテリーミスで1点を加え、いきなり2点のリードを奪う。
その裏、滋賀学園の先発マウンドに上がったのは今大会無失点のエース・長﨑 蓮汰投手(3年)。この流れで試合を優位に進めると思われたが、1番・北川 陽聖外野手に初球から死球を与えてしまうと、2番・磯谷 哉斗外野手(3年)にも四球で出塁を許す。
「決勝という中で硬くなってしまって、体が思うように動かなかった」という長﨑。エースの不調は守りにも伝染する。3番・川端 一透内野手(3年)は三塁ゴロに打ち取り、併殺完成と思われたが、一塁への送球が乱れ、二塁走者の生還を許してしまう。
これで流れは綾羽に。一死二塁から今大会2本塁打の4番・山本 迅一郎捕手(3年)が左中間に適時二塁打を放って同点に追いつくと、一死一、三塁から6番・経免 拓隼内野手(3年)がスクイズを決めて勝ち越しに成功した。
「もっとゲームが動くと思っていたので、同点止まりじゃなくて、ひっくり返しにいくというところで仕掛けました」とスクイズの意図を語った綾羽の千代 純平監督。思い切った策が功を奏した。
さらに勢いに乗る綾羽は2回裏にも無死二、三塁から主将の1番・北川が中前2点適時打を放って追加点を挙げる。次打者の犠打で一死二塁となったところで、滋賀学園は長﨑を諦め、ダブルエースの一角・土田 悠貴投手(3年)をマウンドに送った。
綾羽は土田悠に対しても5回裏に二死二塁から7番・山下 遥陽内野手(3年)の右前適時打で1点を追加。6回以降は無安打に抑え込まれたが、綾羽は先発の藤田 陸空投手(3年)が2回以降に立ち直り、7回途中まで無失点。その後は細かく投手を繋ぎ、この試合では5人の投手を投入した。
綾羽は9回表に1点を返されたが、最後は安井 悠人投手(3年)が滋賀学園の金城 銀二朗外野手(3年)を打ち取り、打球はセンターを守る北川のグラブにボールが収まった。
「準決勝、決勝を勝つことの難しさを何回も痛感してきたので、そこをようやく突破できた。今までの卒業生たちの想い、チャレンジが身を結んで感無量です」と話した千代監督。2004年に千代監督が強化1期生として入学して以来、県内では上位の常連校に名を連ねていたが、惜しいところで甲子園に届かない年が続いていた。
夏の決勝はこれが4回目。昨年で0対5と完敗を喫した相手にリベンジして、堂々と初優勝を手にした。
スーパースターはいないが、守りでは多彩な6人の投手陣を擁する。攻撃では俊足の北川がチャンスを作り、大会最多タイの11得点を記録した川端 一透内野手(3年)、長打力のある山本を中心に高い攻撃力を今大会で発揮した。
「滋賀県の全チームの想いも背負って堂々と戦いたいです」と甲子園に向けて意気込みを語った。目標は甲子園初勝利。「明るく前向きに」をスローガンに全国の強豪校に挑む。
敗れた滋賀学園は序盤に手放した流れを最後まで引き戻すことができなかった。エースとしてこれまでチームをけん引してきた長﨑は「プロを目指してやっていきたいです」とプロ志望届を提出する意向を表明。この悔しさをバネにさらなる飛躍を期す。