(26日、第107回全国高校野球選手権長野大会決勝 松商学園3―1佐久長聖) 「球の走りは今まででベストだ」。松商学園…

 (26日、第107回全国高校野球選手権長野大会決勝 松商学園3―1佐久長聖)

 「球の走りは今まででベストだ」。松商学園の先発左腕・加藤高慎(たかのり)(3年)は、一回にそう実感した。

 先頭で警戒していた打者の一人、森圭翔(3年)を3球三振で切って取った。空振りを取った3球目。「バットが球の下に入っていたから、球が伸びていることがわかった」

 その回の守備を終え、ベンチで捕手の木内壱晴(いっせい)(3年)とこの日のプランを確認した。「今日はまっすぐで押せる。インコースを攻めよう」

 準決勝までチーム打率4割1分の佐久長聖打線に対し、その後も内角を直球で攻めた。七回まで許したのは2安打のみ。八回、今大会の自身37イニング目で初失点を喫しても、「チームが勝つ投球ができればいい」と動じなかった。

 チームは春季大会を地区予選で敗退し、ノーシードで臨んだ今大会。抽選会で開幕戦を引き当てたその日に、松宗勝監督と選手たちは「松商で始まり、松商で終わる夏にする」と誓い合った。無失策の鍛え抜かれた守備力で、その約束を実現した。

 九回、勝利が決まった瞬間、加藤はマウンドで左手の人さし指を天に突き上げ、チームメートと抱き合って喜んだ。「甲子園でも守りからリズムをつくる、自分たちらしい野球を見せたい」。次の目標は「日本一」だ。(菅沼遼)