(26日、第107回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 藤枝明誠0―4聖隷クリストファー) 六回からマウンドに上がった聖…

 (26日、第107回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 藤枝明誠0―4聖隷クリストファー)

 六回からマウンドに上がった聖隷クリストファーのエース高部陸投手(2年)の投球は、圧巻だった。六、七回は6者連続三振。「今日は変化球全てがさえていた」。その後も1人の走者も許さず、最後の打者をスライダーで二ゴロに打ち取ると、大きくガッツポーズを取った。

 140キロ超の伸びのある直球と、鋭く曲がるスライダーをはじめ多彩な変化球を操る大会屈指の左腕。昨夏も1年生ながら救援投手を任され、決勝のマウンドにも立ったが、チームはあと1歩で初の甲子園を逃した。

 昨秋、背番号1を任されると、覚悟が決まった。「自分がチームを引っ張って、来年こそは甲子園へ」

 冬場の体作りが奏功し、直球の球速も球威も大きく成長。春先に練習試合をした大阪桐蔭戦でも打ち取れ、大きな自信になった。

 春からは変化球の練習に力を注いだ。相手が自分の直球を研究してくるなかで、どう打ち取るか。スライダーやカットボールなど従来の球種に加え、緩く落ちる球も新たに習得し、夏を迎えた。

 八、九回は、打たせて取る投球スタイルに意識的に切り替えた。カットボールのような、直球と変わらない球速の変化球の割合を増やした。理想は「力で押さず、打者一人一人を頭を使って抑えられる投手」だ。

 初の夢舞台まであと1勝。「守備から流れを作り、攻撃につながるような投球がしたい。チームを甲子園に導けるようにがんばります」。高部投手はそう意気込んだ。(滝沢貴大)