<第107回全国高校野球選手権大会愛知大会:東邦1―0中京大中京>◇25日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム球場…
<第107回全国高校野球選手権大会愛知大会:東邦1―0中京大中京>◇25日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム球場
昨夏の決勝と同じ顔合わせが、今年の夏は準決勝で実現した。昨夏は、中京大中京が中盤に突き放して7対3で破って優勝している。甲子園では一つ勝って2回戦で神村学園に1点差負けとなったが、全国の高校野球ファンに対しても、名門中京大中京健在の存在感は十分に示した。
そして、新チームも秋は県大会準優勝で東海地区大会へも進出した。今春の県大会もベスト4でしっかりと、シード権を獲得しての戦いとなった。ここまで、確実な戦いでしっかりと勝ち上がってきており、大会が進んでいくとともに「やっぱり、中京大中京強いぞ」という印象を与えてきている。準々決勝の名古屋たちばな戦なども、中盤まで苦しみながら、8回に一気に爆発した力は、鮮やかだった。
東邦は、昨夏の愛知大会決勝での敗退後、新チームのスタートとなる秋季大会では名古屋地区予選で敗退して県大会進出がならなかったという、最悪の状態からの始まりとなった。それでも、その悔しさをバネにして一冬を越え、春季大会には、県大会で豊丘、豊橋中央などとは1点差の接戦を演じるなど苦しみながらも、決勝進出を果たして準優勝と立て直した。
東邦は久田 泰心投手(3年)、中京大中京は田中 太久哉投手(3年)の両エースが先発して、息詰まる投手戦が展開。さすがに、名門校対決らしい、最後まで緊張感のある好試合となった。
5回を終わって、クーリンクタイムとグラウンド整備となったが、ここまでお互いにゼロ行進。東邦は5安打で三塁へも進めていなかった。中京大中京も4安打で5回にはやっと三塁まで進めたが、ここまで3併殺だった。久田投手が、巧みにコースを投げ分けていきながら上手にゴロを打たせる上手い投球だったとも言えよう。
また、中京大中京の田中投手も、苦しい場面で力を発揮するタイプ。決して力で圧倒するタイプではないが、走者を出しながらも粘り強く投げていた。
こういう展開の時は、整備明けの6回に何かが起きることがよくあるのだが、東邦は一死から1番瀬木 玲央選手(3年)が内野安打で出塁する。東邦にとっては、何でもできる選手が出塁したのだが、すぐに二盗すると、金本 凱将選手(2年)が中前打で繋いで一、三塁。ここで東邦は3番の朝倉 大空主将。どう攻めていくのかというところだったが、山田祐輔監督は「三塁走者が状況判断のいい瀬木だったので…」ということで、セーフティ気味のスクイズを指示。これが決まって内野安打となった。東邦は貴重な1点を奪った。
その後も安打が出たが、ここは中京大中京もしっかりと守り、本塁で刺した。このあたりはさすがである。
その裏、中京大中京も先頭が四球で出る。しかしバントは送れず一死。しかし、5番村上 颯選手(3年)が繋いで一死一、三塁。ここで長打力もある牧村 典明選手だったが、「今日はちょっと振れていない」と判断して中京大中京・高橋 源一郎監督はスクイズを指示。しかし、打球は、捕手の手前に転がって。三走は動けないままだった。
結果的には、この6回のスクイズの明暗が勝敗を分けた。
久田投手は、最後まで自分の投球を続けて0に抑えた。また、田中投手も1点こそ失ったものの、最後までしっかり投げたことは称えられていいであろう。
東邦の山田監督は、「辛抱の試合でした。バッテリーはもちろん、バックも本当によく守った。1回、2回と走者を許したけれども、併殺で流れを止めたの大きかった。次は、去年のこと(決勝で敗退)は、あまり考えないで挑みたい」と、決勝を見据えていた。
中京大中京の高橋監督は、「1年を振り返ってみると、本当によく練習して努力する学年でした。結果的には、勝てませんでしたが、こういうチームを勝たせられなかった、甲子園へ行かせられなかったのは、監督の責任だと思います」と、選手たちを称えながらも、勝てなかったことを悔いていた。
球国愛知を代表する名門校同士の対決。最後まで緊張感、緊迫感のある好試合だった。