(26日、第107回全国高校野球選手権三重大会決勝 津田学園1―0津商) 津田学園が1点リードで迎えた八回の守り。二つ…
(26日、第107回全国高校野球選手権三重大会決勝 津田学園1―0津商)
津田学園が1点リードで迎えた八回の守り。二つの安打と自らの失策も絡み、桑山晄太朗投手(3年)は無死満塁のピンチに立った。内野手が集まった円陣で「次のプレーを楽しもう」と声をかけ合った。
続く打者の強烈なゴロは、遊撃手から本塁、一塁と送られて併殺に。後続も遊ゴロに打ち取った。「同点は覚悟したのに、野手が最高のプレーを見せてくれた。感謝しかない」と、桑山投手は試合後に振り返った。
速球は最速149キロだが、24日の準決勝で132球を投げたこともあってこの日は体が重く、速球は145キロ止まり。六回には利き手の左親指の皮がむけ始め、味方の攻撃時に手当てをしてマウンドへ向かった。
その球威で2年生の時から頭角を現しながら、終盤のスタミナが課題だった。昨秋の県大会準決勝では、優勝した海星を八回まで1失点に抑えながらも九回に大崩れして大敗。続く3位決定戦に敗れ、春の選抜大会へつながる東海大会に出場できなかった。
「最後まで試合を作ってこそエースなのに、ふがいなかった」
86キロあった体を冬の間に5キロ減量して投手向きの筋肉を鍛え上げた。球速は7キロ増した。
この試合、津田学園は、打者の手元で微妙に変化する津商の先発投手の球を打ちあぐんでいた。ベンチの仲間の分析で、ぎりぎりまで球を見きわめてからバットを出すことを徹底し、六回に3安打と打線がつながり、1点をもぎ取った。
桑山投手は、立ち直った九回は打者3人で締めた。「疲れても、思い切って攻めれば仲間が助けてくれることを改めて知った」。歓喜の渦の中に両手を突き上げたエースがいた。(本井宏人)