(26日、第107回全国高校野球選手権鳥取大会準決勝 米子西3―4鳥取城北=延長十回タイブレーク) 「俺まで回せ」。米子…
(26日、第107回全国高校野球選手権鳥取大会準決勝 米子西3―4鳥取城北=延長十回タイブレーク)
「俺まで回せ」。米子西の吉原哲平選手(3年)は次打者席で強く念じていた。タイブレークから得た延長十回2死二、三塁のチャンス。前の打者は申告敬遠され、塁が埋まった。
マウンドには鳥取城北が誇る三本柱の一人、鈴木欧音(おと)選手(同)。吉原選手は狙っていた直球を振り抜いたが、「外角低めでビタビタに来た。弱いスイングになってしまった」。内野ゴロに倒れ、勝ち越しならず。その裏にサヨナラ勝ちを許し、米子西の初の甲子園はかなわなかった。
昨夏の覇者を相手にチームは互角の戦いを見せた。五回に3点差を一挙に追いつくと六回以降は互いに譲らず、1点を争う緊迫した展開に。坂口健一監督は「勝ち越しできていれば。選手たちを勝たせてやりたかった」と残念がった。
全試合で4番に座った吉原選手はこの日、5打数無安打で快音が聞かれなかった。だが、準々決勝までの3試合で計7安打5打点と主砲らしく打線を牽引(けんいん)した。自他ともに認めるムードメーカーは「悔しいです」。チームの夢は後輩たちに引き継がれた。(清野貴幸)