(26日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会準決勝 小野3―13東洋大姫路) 小野のベンチから、スタンドの大応援団か…
(26日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会準決勝 小野3―13東洋大姫路)
小野のベンチから、スタンドの大応援団から、声援が耳に届く。「頑張れ!」「攻めろ!」「いけるぞ!」
四回裏、本山翔主将(3年)はマウンド上で笑顔だった。四回表の攻撃で仲間が3点を返し、劣勢でも心は折れていなかった。「点差は全員でひっくり返せる」
2死から満塁のピンチを迎えたが、思い切り腕を振った。打球は自らの真上に打ち上がった。しっかりとグラブに収め、両手の拳を握ってほえた。
「みんながいたから、ここまでこられた」。2018年の西兵庫大会以来となる準決勝の舞台。本山主将は、そう振り返る。
本山主将は、入学時は捕手だった。昨年秋から投手に転向。巨人の戸郷翔征選手の腕の上げ方などのフォームをまね、外部のトレーナーと二人三脚で「球の強さ」を磨いてきた。
エースとして迎えた春の県大会では初戦敗退だったが、「仲間が支えてくれた」。走り込みで、夏に向けてもう一度、体を鍛えていった。
9点差の六回2死二、三塁。目の前に転がったセーフティーバントを一塁に送球したが間に合わず、コールド負けになった。「終わったんだな」。その場に立ち尽くした。
試合後、涙をこぼしながら話した。「選手や同級生、応援団が支えてくれたから、これまで、つらいと思うことはなかった。みんなのおかげです」(原晟也)