◇国内女子◇大東建託・いい部屋ネットレディス 3日目(26日)◇ザ・クイーンズヒルGC (福岡)◇6503yd(パー7…
◇国内女子◇大東建託・いい部屋ネットレディス 3日目(26日)◇ザ・クイーンズヒルGC (福岡)◇6503yd(パー72)◇晴れ(観衆3189人)
「スピンをしっかり入れて、センター狙いで」。夫からのアドバイスを飲み込んだショットは、グリーン左奥ではためくフラッグに向かって飛んだ。前半6番(パー5)、左足下がりのセミラフから7Wでの第2打。追い風に乗った一ノ瀬優希のアルバトロスかという一撃はカップの奥1.5mで止まった。
18ホールで最も易しい、5番でバーディを奪えず気落ちしていた直後に飛び出た会心のイーグル。勢いが付き、折り返しの9番ではグリーン奥からチップインバーディを決めた。「グリーン(エッジ)にギリギリふわっと落とせば、ダウンヒルで転がってくれるかなと思って」。1Wショットのミスを得意のアプローチで帳消しにしてガッツポーズを作った。
4歳の長女、1歳の長男を持つ2児の母。ステップアップツアーを主戦場に復帰した今季、前週の「あおもりレディスオープン」で初優勝した。次に狙うのは「PRGRレディス」、「サイバーエージェント レディス」を制した2014年以来となるレギュラーツアーのタイトル。予選2日間はいずれも「69」で回り、このムービングデーも目標通りの「67」をマークして通算11アンダーの首位に立った。
11年84日ぶりの勝利といけば、金田久美子(11年189日/2022年・樋口久子 三菱電機レディス)に次ぐ史上2番目のブランク優勝となる。また、21年「GMOインターネット サマンサタバサグローバルカップ」を制した若林舞衣子以来、史上7人目の“ママさんV”も達成する(いずれも1988年のツアー制施行後の記録)。周囲からの期待は夫婦で背負う。今週、キャディを務めるのは2019年に結婚した国内男子ツアー2勝の谷口拓也。「旦那のアドバイスを聞いて、落ち着いてゴルフができた。きょうも結構、助けてもらいました」
コースマネジメントやパットのライン読みはさることながら、夫は「せっかちな私」の手綱を握っていてくれる。「私が『前に、前に』になっちゃうところを『落ち着けよ。前の組はまだプレーしている。後ろの組も来ない。もうちょっとゆっくりやったら』って」と精神面の支えがありがたい。そして、家を空ける間、子どもたちの面倒を見てくれる母のサポートにも報いたい。「やるからには親に預けて(家を)出ていくので、ちゃんと成績を残さないと申し訳ないといつも思っている」と試合出場には並々ならぬ覚悟がある。
「あしたも目標をクリアできれば優勝できると思う。しっかりやっていきたいです」。最終日最終組でのプレーは2015年「フジサンケイレディス」以来。10年前とは一打にかける思いが違う。(福岡県糸島市/桂川洋一)