<第107回全国高校野球選手権大会西東京大会:八王子8-6早大学院>◇25日◇準々決勝◇明治神宮球場 八王子にとって1回…

<第107回全国高校野球選手権大会西東京大会:八王子8-6早大学院>◇25日◇準々決勝◇明治神宮球場

 八王子にとって1回は、魔のイニングになっている。初戦(3回戦)の大成戦では、先発した背番号1の古山 球道(3年)が3四球で満塁のピンチを招き、一死満塁で降板した。4回戦の杉並戦では、秋までは背番号1だった左腕の島田 悠之介(3年)先発したが、立ち上がりボールが6球続いた。その後立ち直り、事なきを得たが、試合の入り方のまずさは、課題になっていた。

 そして準々決勝の早大学院戦。八王子は今大会主戦投手になっている背番号10の島田が先発した。しかし1回裏いきなり無死一、二塁のピンチになり、早大学院の3番・坂口 凛外野手(3年)のバントに対し、三塁手・佐藤 侑翔(3年)の悪送球もあり、早大学院があっさり1点を先制する。さらに死球もあって一死満塁となり、5番・小西 潔尚外野手(2年)の二塁打で満塁の走者が生還して早大学院がリードを4点に広げる。

「島田はブルペンではよかったので、心配していなかったのですが。初めての神宮ということで、力みがありました」と八王子の安藤 徳明監督は語る。主戦投手の立ち上がりの乱調で、八王子は投手を背番号11の浜辺 勇仁(3年)に交代する。八王子は島田以外に背番号1の左腕・古山、背番号13の右腕・河口 陽向(2年)がおり、この大会では、河口がリリーフ登板することが多かった。けれども安藤監督は、「縦のスライダーがいい」ということで浜辺を投入した。

 突然の登板になった浜辺だが、「準備はしていたので、緊張はなかったです」と語る。早大学院の6番・村野 太亮捕手(3年)を、得意の縦のスライダーで三振に仕留め、7番の後藤 慶外野手(3年)に対しては、カットボールで連続三振に仕留める。8番・濱田 啓吾内野手(3年)の左前安打で、早大学院が1点を追加するものの、9番・清金 瑠偉外野手(2年)も三振に仕留め、浜辺は傷口を最小限に抑えた。

 ここから浜辺は武器とする縦のスライダーを駆使して、得点を与えない。その間に八王子もじわじわと追い上げる。2回表に1点を返すと、3回表は5番・大森 友輝外野手(3年)の左前適時打に、8番・田中 将基捕手(3年)の2点適時打などで追い上げる。

 さらに5回表、八王子は一死二塁から6番・市倉 漣外野手(1年)と7番・伊藤 泰平内野手(3年)の連続二塁打で、一気に逆転する。同点打の市倉は、「打った時は詰まったかなと思いました」と語る。市倉は1年生ながら4回戦の杉並戦では豪快な本塁打を放ちパワーのあるところをみせ、この試合では打撃のうまさもみせた。今後が楽しみな1年生だ。

 八王子は6回表にも1点を追加。その裏1点を返されたものの、7回裏からは河口が登板して3回を無失点に抑え8-6で八王子が勝ち、準決勝進出を決めた。この試合、地力では八王子が勝っていた。しかし初回で崩れてしまえば、挽回は難しかったに違いない。その意味で、緊急登板の浜辺が、八王子を救ったことになる。