(25日、第107回全国高校野球選手権愛知大会準決勝 豊橋中央4―3愛工大名電) 一塁側スタンドから愛工大名電のチャン…
(25日、第107回全国高校野球選手権愛知大会準決勝 豊橋中央4―3愛工大名電)
一塁側スタンドから愛工大名電のチャンステーマ「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が大音量で鳴る。代打で、正捕手の名前がコールされた。
1点を追う八回2死二塁。岡本力哉選手(3年)は追い込まれた後のスライダーに反応した。引っ張った打球は右翼線を破った。同点の走者が生還すると、岡本選手は一塁上で絶叫した。
4回戦で左足の肉離れを発症。はじめは動くのもつらかった。なんとかチームの力になりたいと、欠場した2試合でマスクをかぶった2人の1年生、皆川慧選手と堀田将大選手には、イニングが終わるたびにアドバイスを送ってきた。
そしてこの準決勝、絶好の同点機で、倉野光生監督に思わず言った。「行けます」。その言葉通り長打コースの打球を放ったが、二塁までは走れなかった。
決勝点となったバッテリーエラーはベンチで見ていた。「めちゃくちゃ悔しいけど、『もっとこうしていれば』という場面は思いつかない。勝負強い下級生に、行けなかった甲子園をめざしてほしい」。午後8時を過ぎた球場の照明に照らされた表情は、すがすがしかった。(松本敏博)
■試合の経過
◎…豊橋中央は同点に追いつかれた直後の八回、二塁打と2四球で満塁とすると、相手の暴投で1点を勝ち越した。先発高橋は2試合連続の完投。愛工大名電は八回、代打岡本の適時打で同点としたが、九回の好機では決定打が出なかった。