エンジニアたちと熱心に話し込む角田(C)Getty Images 苦しい立場を訴えた日本人ドライバーの発言が話題を生んで…

エンジニアたちと熱心に話し込む角田(C)Getty Images

 苦しい立場を訴えた日本人ドライバーの発言が話題を生んでいる。

 キッカケとなったのは、F1の名門レッドブルに所属する角田裕毅が、現地時間7月25日から始まった今季第13戦ベルギーGPを前に発したコメントだ。昇格後10戦中で入賞はわずか3回と苦戦が続く25歳は、フリー走行の前日に自身が乗るマシンが旧式パッケージであることを告白。絶対的エースであるマックス・フェルスタッペンを重宝するチームの考えを理化しつつも、やはりこみ上げる複雑な思いを漏らした。

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「今回は同じパッケージでいくことになった。残念で、理想的ではないけど、仕方ない。チームは新しいパッケージをできるだけ早く投入しようと一生懸命に取り組んでくれている。特にこういう接戦の中では、それがあるとありがたいけど、チームも重要性は理解してくれている」

 この角田の訴えが一部で波紋を広げた。ただでさえ操作困難とされるマシン『RB21』のアップグレードをエースに対してのみ優先的に実行しているレッドブルの判断の是非が問われたのだ。英メディア『Sport Bible』は「ユウキ・ツノダがマックス・フェルスタッペンの車について語ったコメントは周囲に大きな不満を抱かせるものだった」と指摘。SNS上で「レッドブルはセカンドドライバーにも敬意を払うべきだ」「2台の車は同じものであるべきではないのか?」「なぜユウキには古いマシンが与えられ、マックスにははるかに良いマシンが与えられるのか?」「これでも人々はユウキがマックスより劣っていると叫ぶ。レッドブルが多くのセカンドドライバーを台無しにしてきたのはこういうことのせいだ」と批判が相次いでいる現状を伝えた。

 迎えた25日のフリー走行では1回目が18番手、スプリント予選では12番手に沈み、SQ3進出を逃した角田。マシンの性能を考慮すれば、「案の定」とも言える結果だけに、どうにももどかしい。

 もっとも、当人はとにかく前を向いて取り組んでいる。フリー走行後にF1公式サイトのインタビューに応じた角田は、「フェルスタッペンのマシンのようにすべてのパッケージを持っていれば、“真実の差”が見えてくるのではないか?」と問われ、こう切り返している。

「いつ(新しいパッケージのマシンが)手に入るかは分からない。でも、僕はそれまでベストを尽くす。もうすぐだと思う。エンジニアリンググループの動きを考えると、僕らはセットアップを含め、すべてにおいて今のパッケージからでもコンスタントにパフォーマンスを引き出し始めている。もっと僕が上手くやれるところもあるが、こういうタイトなセッションではそこを整えていく必要がある」

 果たして、ハンデを抱える中で角田はいかに巻き返しを図るのか。そのパフォーマンスには、熱心なファンの期待が集まっている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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