11日に開幕した第107回全国高校野球選手権青森大会は、弘前学院聖愛の4年ぶり3回目の優勝で幕を閉じた。逆転劇あり、接…
11日に開幕した第107回全国高校野球選手権青森大会は、弘前学院聖愛の4年ぶり3回目の優勝で幕を閉じた。逆転劇あり、接戦あり、打撃戦あり、48チーム(52校)による47試合の熱戦が繰り広げられた。
優勝した弘前学院聖愛は、1試合ごとに力を増していった印象だった。準々決勝の八戸工大一戦を1点差で逃げ切ると、昨秋、今春でともに敗れた第1シードの青森山田にも1点差で勝利し、勢いにのった。
勝負強さの極みは八戸学院光星との決勝だった。あと1アウトで敗れる状況から3連打で逆転。相手の反撃もしのぎきり、3試合連続1点差勝ちで頂点に立った。8月5日に開幕する全国選手権でもこの勝負強さに期待したい。
準優勝の八戸学院光星は準決勝までの4試合を全てコールドで勝ち上がるなど、投打の実力は十分だった。決勝も紙一重の結果。厳しい練習で鍛え上げてきたのだろう。青森山田に完敗した春から、別チームのように変わっていた。
昨秋、今春の王者だった青森山田は、4季連続の甲子園出場はならなかった。準決勝の敗戦後に泣き崩れる選手の姿は、最後の夏にかける思いを感じさせた。
今大会は公立校の活躍が目を引いた。準々決勝には青森北、弘前南、木造の三つの公立校が残った。ベスト8に公立3校が残るのは2021年以来。さらに青森北は21年ぶりの準決勝進出を果たした。4強に公立が勝ち上がったのも21年以来だった。
接戦が目立つ大会でもあった。1点差が7試合、2点差が5試合だった。もちろん、シード校の強豪私学とノーシードの公立校では大差がつく試合もあったが、好ゲームが大会を盛り上げた。
開会式の選手宣誓では、大湊の飛内樹人主将(3年)が高校野球人口の減少について触れ、「すべての子どもたちと青森県に夢と希望と元気を与えられるよう、全力で最後まで戦い抜くことを誓います」と述べた。大湊も昨秋から部員不足に悩んでおり、「自分の宣誓を見て、『高校野球をやりたい』と思ってほしい」との思いからだった。
連合チームの数は昨年の2から3に増えた。少子化やスポーツの多様化の中、連合チームが増えるのは時代の流れだろう。飛内主将が願ったように、今大会の熱戦を見て高校野球をする子どもが一人でも増えたらうれしい。(小田邦彦)