西東京大会は27日に準決勝2試合が行われる(C)産経新聞社 猛暑の夏、全国各地で熱闘が繰り広げられています。夏の高校野球…

西東京大会は27日に準決勝2試合が行われる(C)産経新聞社

 猛暑の夏、全国各地で熱闘が繰り広げられています。夏の高校野球地方大会もたけなわ。勝って涙。負けて涙。一心不乱に白球を追いかける若者の青春模様は、時代が令和に変わっても人々の心をつかんで離しません。

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 全ての高校球児にとって、憧れの場所は甲子園。そして学校経営に携わる大人達にとっても、甲子園出場が至上の喜びであることは紛れもない事実です。

 高校野球取材歴の長いスポーツライターは言います。

「少子化で高校経営も生き残りをかける中、甲子園出場の金看板はものすごく大きいです。校内は活気づき、周囲から話題になることから、在校生の自己肯定感は高まります。出場が決まった瞬間から甲子園で敗れて地元に戻るまでの間、新聞やテレビのローカルニュースはその動向を刻々と報道してくれます。試合当日はNHKの全国放送で2時間以上、校名が連呼されます。夏場は受験生が志望校を熟考する季節。広告費に換算したらその効果は計り知れないんです」

 となれば、学校経営者の間で甲子園出場は至上のミッション。前述のスポーツライターは、「7割はスカウティングで決まります」と、いかに有望中学生を集められるかが大事だと言います。

「スカウティングの担当者はチームによって異なります。監督が自ら動くチームもあれば、部長が中学野球界に幅広いネットワークを築いている例も多い。コーチやOB会の幹部など、学校によって千差万別です。ある強豪校では絶対に欲しい中学生には監督自らがアタックし、そこまででない選手にはコーチが出向くなど、ランク付けした上で対応している例もあります」

 そして近年の傾向としては、エリアの遠近を問わずボーダーレス化がいっそう進んでおり、日本代表候補クラスの中学生には中学2年生の段階で「内定」が出されるなど、早期化も顕著です。

「選手サイドが重視するのは『出口』です。つまり入学して3年後にプロ入り、あるいは名門大学への進学が可能になるかどうか。推薦での進学は高校と大学のパイプによって決まることが多いですから。東京六大学リーグや東都大学リーグの名門校への“実績”があれば、保護者としては勧めやすいし、安心して2年4か月、野球に打ち込むことができるわけです」(前述のスポーツライター)

 地方の高校にとっては、出場校数の少なさがメリットになる例もあります。

「例えば今夏の出場チームですが、同じ関東でも神奈川は172で、対して山梨は31。『絶対に甲子園に出たい』という中学生は、『出やすさ』を考慮して、神奈川から山梨に行く例も結構多いんです」(前述のスポーツライター)

 一時の「大阪から東北へ」「大阪から四国へ」にとどまらず、「九州から関東へ」「関東から沖縄へ」「関東から関西へ」など、大志を抱いて有望中学選手は自らの進路を決断していきます。8月の夏の甲子園。選手達の出身エリアに注目して観戦するのも、また一興かもしれません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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