右肩のリハビリとともに、肉体のビルドアップにも着手している佐々木(C)Getty Images 怪物は、いかにしてメジャ…

右肩のリハビリとともに、肉体のビルドアップにも着手している佐々木(C)Getty Images

 怪物は、いかにしてメジャーの壁を乗り越えるか――。5月中旬から負傷者リスト入りしている佐々木朗希(ドジャース)の復帰プロセスがぼんやりと浮かび上がってきた。

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 大きな期待を背負った1年目は試練の日々となった。東京ドームで迎えたカブスとの開幕シリーズでは3戦目に先発登板。最速100.5マイル(約161.7キロ)の快速球を投げ込むなど上々の船出を切った“令和の怪物”だったが、徐々にパフォーマンスが低下。平均速度が96.1マイル(約154.6キロ)にまで落ち込み、コンディション不良が明らかに見え始めた5月13日に「右肩のインピンジメント」が判明し、負傷者リスト(IL)入りとなった。

「今は彼が自信を持ってボールを投げられる状態を作らなければならないと思っている。ボールを投げたとしても、まだ軽いキャッチボール程度で、それ以外の練習はあまりしていない。必ずしも本格的に投げる練習は必要がないと考えている」(マーク・プライアー投手コーチ談)

 右肩の異常が明らかになった直後からドジャースは、佐々木を再構築させる方針に舵を切ることを明確にしていた。それはロッテ時代にも故障を繰り返し、規定投球回に達した経験がない23歳へのシビアな評価でもあった。

 メジャーの壁にぶつかり、課題克服に向き合った。そんな暗中模索の日々で佐々木は着実にステップを踏み出そうとしている。レギュラーシーズンの後半戦が始まった現地時間7月23日には、デーブ・ロバーツ監督が「ロウキは土曜日にもう一度ブルペンで投げた後、アリゾナで打者と対戦する予定だ。その後に復帰へ具体的な見通しが立つと思う」と明言。ついに実戦復帰の目途が立ったとしたのだ。

 興味深いのは、ロバーツ監督が佐々木の“グレードアップ”に言及した点だ。復帰時期を8月下旬に据える指揮官は、「投球動作も安定してきたと聞いているし、筋力もついてきた」と指摘。そして「復帰まで時間は限られているが、戻ってくる時には競争力がある状態になっている必要がある。そういう意味で、今の進捗には満足している」と強調した。

 ノースローでの調整が続いていた時期を考えれば、かなりの進歩だ。さらに「筋力もついてきた」という言葉には、佐々木がメジャー仕様の肉体を手に入れつつある現状が伺える。

 リハビリとともに、肉体も進化させる怪物には、米メディアも興味津々である。ドジャースのありとあらゆる情報を発信している専門メディア『Dodgers Nation』は「ササキの復帰については慎重な見方もある」とした上で「すでにブルペンでは90マイル(約144.8キロ)を超えるボールを投げており、その才能と実績を考えると興奮は隠せない」と期待を寄せた。

 産みの苦しみの中で、佐々木は何を掴むか。ポスティングシステムを決意した直後にロッテ公式サイトで「マイナー契約から這い上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」と語った若武者の真価が問われている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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