パドレスの絶対的な守護神として君臨するスアレス(C)Getty Images 間もなくデッドラインを迎えるMLBのトレー…

パドレスの絶対的な守護神として君臨するスアレス(C)Getty Images

 間もなくデッドラインを迎えるMLBのトレード市場。毎年、最終日となる7月31日まで大物選手を含めたありとあらゆる取引が行われる同期間だけに、今夏も水面下で進んでいる交渉に注目が集まっている。

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 オフにFAとなる実力派選手を中心に投打で補強可能な選手が目を引く中、人気銘柄となりつつあるのが、パドレスと2年1600万ドル(約23億3600万円)の契約を残すロベルト・スアレスだ。

 いまやメジャー屈指の剛腕守護神としての地位を確立している。現在33歳のスアレスは、2015年に鳴り物入りで入団したソフトバンクを経て、2020年に阪神に加入。100マイル(約160.9キロ)を超える4シームとスプリットに磨きをかけて2年連続で最多セーブ王に君臨した。

 日本で声価を高めたベネズエラ人ストッパーは、2021年オフに虎党たちに惜しまれながらもパドレスに移籍し、翌年に念願のメジャーデビュー。世界最高峰の舞台でも打者を圧倒し、同年オフに5年4600万ドル(約70億4000万円)という高額契約を結んだ。

 今季はここまで44試合に登板してリーグトップの29セーブを記録。防御率(3.46)こそ、やや数字を落としている33歳だが、まだまだ衰えは見られない。

 そんなスアレスが売りに出されるというのだ。打線強化を目論むパドレスの編成事情もあって、方針転換の“トリガー”になると見られている。米スポーツ専門局『ESPN』の名物記者であるジェフ・パッサン氏は、高年俸のベテランも多数抱えるパドレスは「予算も逼迫している可能性がある」と指摘。その上で2年総額1600万ドルの契約を残すスアレスが人員削減の対象になると論じている。

 ナショナル・リーグ西地区の優勝争いでも首位ドジャースから5ゲーム差と水をあけられているパドレスの苦境を指摘するパッサン記者は、「パドレスは捕手の数が少なく、外野も改善の余地がある。AJ・プレラーGMは、ニーズを満たすために創造性を発揮する必要がある」とも力説。「その場合には優秀なブルペンに頼るかもしれない。とくにスアレスが最も有力な選択肢だ」とした。

 また、MLBをはじめとする各国球界の移籍情報を発信する専門メディア『MLB Trade Rumors』は、スアレスとパドレスの契約金額について「人員削減の余地がほとんどないチームにとっては、決して無視できない金額だ」と断言。その上で次のように論じている。

「その規模は一部のチームに獲得を躊躇させる可能性もある。2年1600万ドルは、獲得する側にとっては純粋なリスクでしかない。しかし、スアレスが今の状態を維持できるなら、手頃な価格とも言える。そして、戦力としても効果的であるため、パドレスが本気で彼をトレード放出の対象として検討すれば、多くの関心を集めるはずだ」

 中継ぎ陣に故障者が相次いでいるドジャースをはじめ、ブルペン補強を必要とするコンテンダーチームは少なくない。そうした中でスアレスの去就はいかに動くのかは興味深い。日本から世界へと羽ばたいた苦労人の行く末が注目される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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