(25日、第107回全国高校野球選手権愛媛大会準々決勝、小松4―1西条) 七回表、大会屈指の本格派左腕といわれた西条の…
(25日、第107回全国高校野球選手権愛媛大会準々決勝、小松4―1西条)
七回表、大会屈指の本格派左腕といわれた西条の宇佐美球児投手(3年)に、異変が起きた。ストライクが一球も入らずに二者連続四球。六回まで無四球、12奪三振の快投を見せていたにもかかわらずだ。
八回表も制球が定まらない。四球と安打などでピンチを招いて逆転された。さらに相手の4番打者に、フェンスを直撃する右越え二塁打を放たれた。
今大会で初先発だったこの日、140キロ超の直球や今夏のために習得した落ちる球で評判にたがわぬ実力を示した。161球を投げ、最後までマウンドを守った。
1―4で敗退した試合後、宇佐美投手は、六回表の最後の打者を三振に取った後、左ふくらはぎをつったと明かした。「(それ以降は)少し球が浮き始めていて、抑えようとしてフォームが崩れた。痛みはなかった」と振り返った。
昨夏もエースとして愛媛大会に出場。準優勝の原動力となった。親から授かった名前は、高校球児とプロ野球元阪神の藤川球児投手(現監督)にちなむという。
「甲子園に行く、プロに行く、と決めてずっとやってきた。くよくよしてても上には行けない。また明日からがんばっていきたい」。涙は消えていた。(中川壮)