(25日、第107回全国高校野球選手権西東京大会準々決勝 八王子8―6早大学院) 最初の一球にかけていた。 2点を追う八…

(25日、第107回全国高校野球選手権西東京大会準々決勝 八王子8―6早大学院)

 最初の一球にかけていた。

 2点を追う八回裏1死一塁。早大学院の主将、安部勇人(3年)が代打で打席に入った。

 チームは相手投手の変化球に対応できないなど苦しんでいた。「ここで打てば、チームに勢いを与えられる」。初球の狙いは変化球。狙い通りに左前にはじき返し、うれしさで手を突き上げた。

 「この試合は後半勝負だから、ここ一番のときにむけて準備するように」。前日の練習中、野口順平監督からそう言われ、スタメンを外す考えを告げられた。そんな安部を鼓舞したのはチームメートだった。試合直前、先発した古田祐太(同)は「絶対、お前の力が必要だから準備しとけよ」。かつて青森でともに白球を追った中学時代の仲間で、24日の青森大会で優勝した弘前学院聖愛の同期からもメッセージが届いた。「甲子園で会おうな」

 この日は打者や走者に指示を出す一塁コーチャーも務めた。投手の癖を伝え、打ち取られた打者に「切り替えて行けよ」「次はチャンスで打席がくるから」とげきを飛ばし続けた。

 あと一歩及ばなかったが、神宮球場でプレーできてうれしかった。「後輩たちは神宮で満足せず、甲子園で校歌を歌ってほしい」=神宮(武田遼)