(25日、第107回全国高校野球選手権栃木大会準決勝 青藍泰斗6―0宇都宮工) 七回までに6点のリードを許した宇都宮工。…
(25日、第107回全国高校野球選手権栃木大会準決勝 青藍泰斗6―0宇都宮工)
七回までに6点のリードを許した宇都宮工。沈みそうなムードを盛り上げ続けたのが、背番号20の金子真翔(まさと)(2年)だ。攻撃時は三塁コーチとして、スタンドまで響く大声でチームを鼓舞した。
守備時は伝令役だ。この日も三度、跳びはねるようにマウンドに向かい、「海のシャチは群れの中で役割を全うし、強い群れになる。俺たちもやれる」と仲間を激励した。
いま、なぜ、シャチなのか。理由は分からなくても、金子の真剣な顔をみて仲間たちは元気になる。そして和む。そうした「金子語録」がこの大会、チームを何度も救ってきたという。
そんな金子について大森一之監督は、「キャプテンのような下級生」と評する。元気の裏側で、一人一人の心の動きを繊細に感じ取り、ハッパをかけたり、緩めたり……。「行ってこい」の一言で、そのときに必要なことを伝えてくれる。
金子は中学時代、試合に出られなかった時期に「暗くなってもメリットはない」と悟ったという。以来、「明るくいこう」と心に決め、声を出すことから始めた。
春季県大会はひざのケガでベンチを外れた。だからこうしてベンチに戻り、仲間と肩を並べる喜びが身にしみるという。
7年ぶりの4強入りを果たしたものの、甲子園の壁は高かった。だが、落ち込むひまなどない、と金子は言う。大切なのはつらいとき、悔しいときにどう振る舞うか。「先輩が道を開いてくれた。あすから新チームで練習です」。来夏は一塁手として、フィールドから大声を出すのが目標だ。(高橋淳)