(第107回全国高校野球選手権福島大会決勝 聖光学院10-3会津北嶺) チームはノーシードから、夏の福島大会で初めてと…

 (第107回全国高校野球選手権福島大会決勝 聖光学院10-3会津北嶺)

 チームはノーシードから、夏の福島大会で初めてとなる決勝戦に臨んだ。九回2死一塁、会津北嶺の五十嵐悠斗主将(3年)の打球は相手一塁手の前へ転がる。カバーに入った投手が塁を踏んだ。頭から滑り込んだが間に合わず、ゲームセットを迎えた。

 「下克上しようぜ」を合言葉に、一つずつ勝ち上がってきた。2回戦でシード校の東日大昌平を破り、五十嵐主将は「自信がわいた。チームに勢いを感じた」と振り返る。

 決勝にも衰えることなく勢いを持ち込んだ。「練習してきたことをやりきろう」と声を掛け合い、五回には聖光学院を逆転。右前に逆転適時打を放ったのは五十嵐主将だった。

 「We shall overcome」(僕たちは越えられる)。10日の開会式の選手宣誓で、五十嵐主将はこう言った。式後、「どんな困難にも立ち向かうこと」と、趣旨を説明していた。

 戦いを終えて、どう感じているのか。決勝の後、「優勝できればホントに『overcome』だったとは思います」と言葉を継いだ。「でも、僕たちは試合が終わるまで、いろんな困難をみんなで乗り越えた。悔いはないです。練習してきたことを出し切れたので、この大会、ずっと楽しかったです」

 涙で顔はぐしゃぐしゃなのに、表情はずーっと笑顔だった。(西堀岳路)