(25日、第107回全国高校野球選手権福島大会決勝 聖光学院10―3会津北嶺) 1点を追う六回、無死満塁で聖光学院の打…

 (25日、第107回全国高校野球選手権福島大会決勝 聖光学院10―3会津北嶺)

 1点を追う六回、無死満塁で聖光学院の打席には仁平大智選手(3年)が入った。

 狙い球はなかった。カウント2―1からの4球目、内角低めの直球をたたくように振ると三塁線に転がった。三塁手がはじいて安打となり、竹内啓汰主将(3年)が同点のホームを踏んだ。

 終わってみればこの回6得点。ビッグイニングを牽引(けんいん)したのが「2人の主将」だ。竹内主将は先頭で出塁した。「来た球を振る。自分の姿勢でチームを引っ張ろうと思った。どんな形でも出塁する」。三塁に進むと「自分のできることをやればOK!」と打席の仁平選手を鼓舞した。

 新チームの主将になった竹内選手だが、斎藤智也監督から「弱さ、未熟さが見える」と言われ、春に主将を外された。後を継いだのが仁平選手。監督は「仁平は包容力がある」と指名した。

 横山博英部長によると、春の選抜大会で8強に入ったが「チームに行き詰まり感があった」という。竹内選手は「周りがよくみえない。主将として力不足」と悩んでいた。

 そんなとき、一緒にいてくれたのが新主将の仁平選手だ。周りをよく見て各選手の長所を生かす仁平選手の姿から、竹内主将は学んだ。「周りのせいにしない度量の深さをつけた」と横山部長。6月下旬、自ら主将復帰を申し出、監督も「一回り大きくなった」と評価した。

 「目標は日本一」と2人は口をそろえる。今春、かなえられなかった夢の実現に、一歩近づいた。(荒川公治)