(25日、第107回全国高校野球選手権福岡大会準決勝 福岡工2―6西日本短大付) 自慢の強肩で立ち上がりの流れを引き寄…
(25日、第107回全国高校野球選手権福岡大会準決勝 福岡工2―6西日本短大付)
自慢の強肩で立ち上がりの流れを引き寄せた。
一回裏2死一塁、福岡工の赤川天都(たかと)捕手(3年)は、二盗を試みた西日本短大付の走者に反応し、素早い送球で阻止。胸を張ってベンチに戻ると、仲間に笑顔で迎えられた。
走者はU18野球ワールドカップの日本代表候補に名を連ねた奥駿仁選手(3年)。赤川捕手も二塁送球タイムはプロ基準とされる「2秒を切る」という。そんなハイレベルな「対決」を制し、「いけるぞ」とチームを勢いづけた。
今大会、チームは5人の投手で勝ち上がってきた。投手の性格も把握し、リードも細心の注意を払う。
この日先発の稲田優投手(3年)が制球を乱すと、肩を上下に揺らすジェスチャーを繰り返して励ました。「稲田は緊張すると力む。落ち着いていこう、と伝えた」。落ちるスライダーを効果的に使い、無四死球で五回途中まで3失点の好投に導いた。同じクラスという稲田投手は「いつも安心して投げられる」と感謝した。
救援した2番手の松尾航輝投手(3年)には、ポンと背中をたたき、「松尾は自分のペースがあるから、自信のある球を思いっきり投げてこい、と伝えた」。
五回に一度は同点に追いついたが、その裏に連続適時打を浴びて突き放された。八回に4点差まで詰め寄る粘りを見せたものの、2001年以来24年ぶりの決勝進出はならなかった。
試合終了後、温かい拍手と声援が福岡工の応援席からやまなかった。ノーシードから公立校で唯一4強まで勝ち進む快進撃。1回戦から7試合戦い、6勝を積み上げた。これは3回戦から登場するシード校が優勝する勝ち数と同じだ。
赤川捕手は「7試合も全力でやれて、みんなと最高の宝物ができた」。晴れやかな表情で充実感をみなぎらせた。(小勝周、波多野大介)