高校生のスポーツの祭典「全国高校総体」(インターハイ=読売新聞社共催)。地元・中国地方の選手たちを紹介する。バドミント…

 高校生のスポーツの祭典「全国高校総体」(インターハイ=読売新聞社共催)。地元・中国地方の選手たちを紹介する。

バドミントン女子シングルス 岡山県立倉敷中央高1年 渡辺柚乃選手(15)  

 中学時代に全国優勝しており、県外の私立強豪校へ進む選択肢もあった。しかし、指導者の熱意にほだされ今年4月、あえて地元の県立高校に進学、練習に打ち込んできた。周囲に支えられて初めて挑むインターハイに、15歳は「結果で応えたい」。静かに闘志を燃やしている。

 週5回ほど地元実業団の男子選手を相手にシャトルを打ち合う。私立強豪校を上回る練習環境を、と学校側が協力を求めた。スピードとパワーの差を感じつつ自らの成長を信じ、「ただの練習相手ではなく、勝つべき相手」とみなして胸を借りている。

 物心がついた時にはラケットを握っていた。バドミントン経験者の両親の影響だった。小学1年で地元クラブチームに入ると、面白さに目覚めて熱中。試合で好成績を残すなど、めきめきと力を付けていった。

 中学2年で出場した全日本ジュニア選手権。ジュニア新人の部を制し、初めて全国タイトルを手にした。その成長ぶりに注目したのが、現在通う倉敷中央高校のバドミントン部顧問で、父親の同級生でもあった尾崎勝久教諭。日本スポーツ協会などが認定する最高位の指導者資格を保持しており、「岡山で、責任を持って育てていく」と入学を勧められた。

 県外の私立強豪校からの勧誘には心動かされたが、「親元ならば食事などの生活面に不安がなく、競技にも集中できるはず」と背中を押された。「自分のペースで強みを伸ばし、弱点を克服できるかも」と考え、地元に残ることを決めた。

 期待される中、6月に行われた中国高校選手権。他校の2年生選手に決勝で敗れ、準優勝に終わった。進学後の公式戦初黒星に「負けは負け。それでも負けに学び、全国大会に向けた糧にする」と前を向く。

 中学時代は「オール5」と成績優秀で、高校でも遠征先に教科書や参考書などを持ち込み、成績は常に上位をキープ。<文武両道>を貫けるのは、自分のするべきことが分かっているからだろう。

 将来は五輪で金メダル獲得と、目標を高く掲げる。「一戦一戦、目の前の試合に集中し、優勝を狙う」。世界を見据え、まずは高校でも国内で頂点に――。地元・岡山の期待を背に、挑戦の第一歩を踏み出す。(大村知輝)

 バドミントン競技は8月4~9日、山口県防府市の「ソルトアリーナ防府」など3会場で。