高校生のスポーツの祭典「全国高校総体」(インターハイ=読売新聞社共催)が中国5県を主会場に開幕した。地元・中国地方での…

 高校生のスポーツの祭典「全国高校総体」(インターハイ=読売新聞社共催)が中国5県を主会場に開幕した。地元・中国地方での開催を待ち望み、練習に励んできた選手たちを紹介する。

男子卓球 野田学園1年 中野琥珀選手(16)

 小学生の頃から全国大会の常連で、中学進学時に卓球の名門・野田学園(山口市)に進んだ。横浜市の自宅から学校の寮に入り、吉村真晴選手や戸上隼輔選手らオリンピアンを育てた橋津文彦監督(51)の指導を受けるようになった。

 これまで順風満帆だったわけではない。小学2年生のときに全国大会で準優勝したが、その後、フォアハンドが思うように打てなくなるイップスを発症した。一度は克服したが4年生で再発。フォアハンドの際にラケットの面が上を向き、ボールが相手コートに入らなくなった。「やめようと思ったこともあった」と振り返る。

 野田学園では、橋津監督からラケットの握り方や足の動かし方などを一から学んだ。愚直に練習を積み重ねるうちに中学2年でイップスを克服。力が抜けた自然なフォアハンドを打てるようになった。

 回転量の多いサーブは、ボールの変化が大きく、相手のレシーブを狂わせる。バックハンドにも磨きをかけ、高校生になってめきめきと力をつけてきた。指導する中川智之さん(35)は「本人の努力のたまもの」と目を細める。

 ダブルスを組むのは中学1年の時からペアの岩井田駿斗選手(15)。「信頼できる駿斗と声を出し合い、攻め続ける卓球ができている」。全日本で準優勝した勢いを夏につなげたい考えだ。

 高校卓球界で実績十分の野田学園だが、インターハイの団体戦は制したことがない。山口県で開かれる今大会に懸けるチームの思いは大きく、指導陣も「悲願」と意気込む。

 インターハイの団体戦は、シングルス4戦とダブルス1戦からなり、先に3勝した方が勝つ。3試合目に行われるダブルスが勝敗のカギを握る。シングルス、ダブルスとも出場予定の中野選手は「自分らしい卓球をして、どっちも勝つ」と力を込める。(山口総局 松田史也)