<全国高等学校野球選手権愛媛大会:小松4ー1西条>◇25日◇準々決勝◇坊っちゃんスタジアム 秋山 拓巳(現:阪神タイガー…
<全国高等学校野球選手権愛媛大会:小松4ー1西条>◇25日◇準々決勝◇坊っちゃんスタジアム
秋山 拓巳(現:阪神タイガースベースボールアンバサダー)がエースだった2009年以来、16年ぶりの夏甲子園へあと3勝に迫った第3シードの西条。9球団19人のNPBスカウト陣が見つめる中、大会全体の流れも占う準々決勝・小松戦での先発マウンドに満を持して上がったのは、最速143キロ左腕・宇佐美 球児であった。
前回登板の3回戦・八幡浜工戦では自己最速にあと1キロと迫る最速142キロストレートに加え、夏のラストピースとして鍛えてきたツーシームも初披露し、打者3人に対し9球3奪三振と完璧な内容で7回表を投げ切った。 この日も中盤までは素晴らしい内容だった。6回まで94球を投げ強打の小松打線をわずか2安打無四球無失点に封じたばかりでなく、毎回の12奪三振。球速こそ最速142キロに留まったものの、スライダーのキレがよく春以降の強化テーマにしていた右打者インローへのクロスファイアもよく決まっていた。
が、その流れが暗転したのが1対0西条リードで迎えた7回表。「6回表の3アウト目で三振を取った時に右足がつってしまった」(西条・菅 哲也監督)アクシデントに見舞われた宇佐美は、7回表には制球が定まらなくなり連続四球でピンチを招くことに。ここは相手の走塁ミスに救われる形でゼロを並べたものの、続く8回表には二死二、三塁からの遊ゴロ失策で逆転を許すと、続く小松4番・久米 叶太外野手(3年)に対し甘く入った初球ストレートを右越に運ばれ、この回痛恨の3失点。
結局、9回表にも暴投で1点を追加された宇佐美は161球の熱投も実らず。打線も小松の宇佐美 秀文監督が「継投タイミングも2人に任せていた」と話した、定成 悠信と村上 颯希の3年生右腕リレーを打ち崩せず5安打1得点と沈黙した。1対4でノーシード小松に敗れた西条は昨年、決勝戦で聖カタリナ学園の前に「あと1点」が届かなかった甲子園への扉を開くことが今年もできなかった。
試合後は「昨年の3年生の分まで甲子園に行くことをめざしていたのに、チームに迷惑をかけて申し訳ない」と責任を一身に背負った宇佐美。もう1つの夢であった「高卒支配下ドラフト指名」についても「バランスの良さは確認できたが、出力不足は否めない」(某NPB球団スカウト)評価が並ぶ中、今後どのような進路決断を下すかが注目される。