＜全国高校野球選手権大会西東京大会：東海大菅生４－０佼成学園＞◇24日◇準々決勝◇明治神宮野球場「この代は、甲子園はおろ…
＜全国高校野球選手権大会西東京大会：東海大菅生４－０佼成学園＞◇24日◇準々決勝◇明治神宮野球場
「この代は、甲子園はおろか、神宮で試合をしたこともありませんからね」と、東海大菅生の若林 弘泰監督は言う。東海大菅生は昨年の夏も一昨年の夏も5回戦で敗れ、神宮球場で試合をしていない。優勝争いの常連である東海大菅生としては、異例のことである。それだけに、強い意気込みで試合に臨んだ。
準々決勝の相手は、左腕の好投手・熊谷 憲祐（3年）を擁する佼成学園。東海大菅生も左腕の好投手の上原 慎之輔（3年）が先発のマウンドに立った。
左腕投手は、立ち上がりが不安定なことがままある。1回表佼成学園は、1番・狩塚 光陽内野手（3年）が遊撃手と左翼手の間に飛ぶ、難しい打球。これを東海大菅生の遊撃手・前田 蓮（3年）が好捕する。ここから上原は、安定した投球を繰り広げる。2回に1安打を打たれたものの、その後は安打すら打たれない。変化球を駆使した投球は危なげがなかった。「上原は完璧ですね。今日は良かった」と、普段は選手をあまりほめない若林監督が賞賛した。
1回裏佼成学園の先発・熊谷が、2四死球で二死一、二塁のピンチを迎える。ここで点が入るかどうかは、勝敗を大きく左右する。打席には中堅手として出場している5番の藤平 寛己（3年）が入る。「（バットを）短く持って打ちました」と言う藤平が、1ボール2ストライクからの4球目を叩くと、左中間を破る三塁打になり、東海大菅生が2点を先制する。投手でもある藤平だが、「素振りを多くしています」と、野手としての準備もしっかりしている。
3回裏無死満塁のチャンスで再度藤平に打席が回り、今度は４－６－３の併殺に終わったものの、その間に1点を追加する。さらに捕逸もあって、東海大菅生はこの回、さらに2点を追加する。
4点が入った後、佼成学園はエースの熊谷が降板し、斉藤 蓮慎投手（2年）が登板。斉藤が好投したことで、試合の緊張感は続いた。
8回表からは、中堅手であった藤平が、今大会初めて登板する。準々決勝から登板するかもしれないということで、心の準備はできていた。8回表に死球はあったものの無失点。9回表は代打の間野 結斗内野手（3年）に二塁打を打たれたものの、奪三振２の好投で試合を締めくくった。
藤平のこの日の最速表示は146キロ。「指の力が出なかった」と藤平は言う。既にスカウトのスピードガンで152キロを記録している藤平だが、球場の表示で150キロ台は出ていない。「150キロを出します」と藤平は、力強く宣言した。
外野手と投手の二刀流で活躍している藤平だが、「気持ちが出るのはピッチャーです」と言う。それでも、打者・藤平も貴重な戦力になっている。選手の層が厚く、タレントが揃っている東海大菅生においても、二刀流の藤平は、試合ごとに存在感を増している。
