<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:神村学園6-5樟南(延長12回)>◇25日◇準決勝◇平和リース球場「お前、持っ…
<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:神村学園6-5樟南(延長12回)>◇25日◇準決勝◇平和リース球場
「お前、持ってるなぁ。すごい巡り合わせやぞ!」
8回裏、二死満塁で打席に立つ6番・西原維吹(3年)に小田大介監督は声を掛けた。31年前の1994年夏、甲子園決勝で樟南と佐賀商が対戦。樟南の優勝を阻んだ劇的な満塁本塁打を放ったのが、西原の父・正勝さんだった。
当然試合に集中していた西原は、そんなことを思い出す余裕はない。だが、監督に言われて表情が緩み、リラックスして打席に立てた。スコアは1対2で1点ビハインド。自分の仕事は父のように満塁弾を打つことでなく「ボールをしっかり見極めて、自分らしい打撃をする」ことだ。きっちりボールを見極め、押出し四球を選び、試合を振り出しに戻すことに貢献した。
序盤から流れをつかめず、力みや硬さが攻守のミスにつながり、ずっと重苦しい展開だったが「苦しい試合になることは予想できていた。終盤勝負、タイブレークの勝負になることは想定済みで準備していた」と小田監督は言う。
タイブレークの12回裏、3番・今岡拓夢主将(3年)、4番・梶山侑孜(2年)がボール球をしっかり見極めて、連続四球押出しで3時間4分の我慢比べに決着をつけた。「今までの今岡や梶山だったら、ボール球を振らされて三振してたかも」と小田監督。「自分が決める」と力むのではなく、チームのスローガンである心を一つにして後ろにつなぐ「継打一心」に徹した。「チームのために、3年生を甲子園に連れていくために、今自分がやれることに全力で集中した」と2年生4番・梶山は言う。
苦しい試合の中でもそんな姿が垣間見えたことに、小田監督は「継打一心がようやくチームに浸透してきた」手応えを感じていた。振り返れば2年前の春準々決勝で樟南に延長12回でサヨナラ負けしたのを最後に県大会で重ねた連勝数は、その樟南に雪辱したことで44を数えた。