<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:れいめい4-3鹿児島実>◇25日◇準決勝◇平和リース球場 これまで秋、春、県選…

<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:れいめい4-3鹿児島実>◇25日◇準決勝◇平和リース球場

 これまで秋、春、県選抜大会での決勝進出や優勝はあっても、夏の決勝は45年間なかったれいめいが、劇的な逆転サヨナラ勝ちで夏決勝の扉をこじ開けた。「これまで負け続ける中で得るものがたくさんあった。選手たちがよく成長してくれた」と湯田太監督は選手全員の頑張りに賛辞を惜しまなかった。

 勝利を引き寄せたのは「攻める気持ち」(4番・碇山和尚・3年)と「つなぐ野球」(湯田監督)だった。8回まで完璧な投球で鹿児島実打線を抑えていた県内屈指の左腕・伊藤大晟(3年)が9回、先頭打者の4番・前田大成(3年)に特大ソロを打たれてから、勝ちを急ぎ、集中打を浴びて逆転を許した。

 9回裏の攻撃も簡単に二死。このまま、またしても鹿児島実の軍門に下るかと思われたが「最後までベンチの誰もがあきらめてなかった。攻める気持ちを持ち、とにかく塁に出ることだけを考えた」と4番・碇山がフルカウントから粘って四球を選ぶ。

「(碇山)カズがつないでくれた。自分が最後の打者になるわけにはいかなかった」と奄美大島・赤木名中の同級生で幼稚園からの親友・濱田勇人(3年)が左前打でつなぐ。敗北の瀬戸際まで追い込まれても、力投を続けてくれた伊藤を負け投手にするわけにはいかない気持ちで全員が一丸となった。最後は「思い切って振り抜くだけだった」6番・矢野航成(3年)が右前適時打。打球処理がもたつく間に、碇山に続いて濱田の代走だった山口駿志郎(3年)が、勝利の本塁へ頭から滑り込んだ。

 45年ぶりの決勝をかけて県大会44連勝中の王者・神村学園に挑む。強敵だが「れいめいの野球をやれば必ず勝てる」と濱田。準決勝はしびれるような接戦だったが、碇山は「楽しかった」と言う。力まず楽しめるかどうかも、勝敗のポイントになりそうだ。