第107回全国高校野球選手権山梨大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)は、山梨学院の3年ぶり11回目の優勝で23日に幕…
第107回全国高校野球選手権山梨大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)は、山梨学院の3年ぶり11回目の優勝で23日に幕を閉じた。熱闘が続いた今大会を振り返る。
山梨学院の失策は4試合を通じてわずか1。昨秋の関東大会で準々決勝敗退後、吉田洸二監督は失策の多さを嘆いていた。堅守は成長の証しだった。
とくに日本航空との決勝で見せた二つのファインプレーは見事だった。
1点リードの八回の守備。1死一、二塁のピンチで、外野に抜けそうな打球を遊撃手の平野天斗選手(3年)が横っ跳びでキャッチ。トスで受け取った二塁手の万場翔太選手(3年)が軽やかに一塁に送球し、併殺を完成させた。
九回無死の守りの場面でも、中堅手の田村颯丈郎選手(3年)が大飛球を後ろに下がりながら飛び込んでつかんだ。これら二つのプレーにスタンドは沸き立ち、大きな拍手が送られた。
決勝までの4試合で33得点、打率は3割8分4厘。上位から下位まで切れ目がない打線は迫力十分だった。
投手陣も充実していた。左腕・檜垣瑠輝斗投手(2年)は準決勝で先発し、スライダーを武器に8回被安打4、10奪三振の好投。決勝は檜垣から、最速152キロでエースの右腕・菰田陽生投手(2年)へとつなぎ、接戦を制した。吉田監督は檜垣を「左のエースが育った」と評価、菰田との「ダブルエース」で甲子園に臨む。
準優勝の日本航空も健闘した。
エースの右腕・柳沢拓輝投手(3年)と左腕・高木秀人投手(3年)は、前回大会から引き続き、決勝進出に大きく貢献した。打撃では、平井湊人選手(3年)がチーム唯一の本塁打を放った。準決勝では2本の適時打、決勝でも五回の二ゴロが勝ち越しに結びつくなど、粘り強さを見せた。
連覇をかけた決勝でミスが相次いだのが悔やまれた。「新チームには一球の怖さや大切さを伝えていきたい」。豊泉啓介監督は試合後、そう話した。
公立校の戦いぶりも大会を盛り上げた。
12日の1回戦では甲府一と日川が今大会初の延長タイブレークに。日川が十一回、5―4でサヨナラ勝ちし、3時間の熱闘を制した。
17日の2回戦で行われた甲府西―吉田は緊迫のシーソーゲームとなった。終盤は点の取り合いが続いた末、延長十回タイブレークで甲府西が勝利した。
青洲は17日の2回戦で敗れはしたものの、日本航空を相手に0―2と健闘した。春の県大会で8強に入った甲府工は、今大会で公立唯一の4強入りを果たし地力を見せた。
大会中の本塁打は12本だった。低反発バットの導入によって一昨年の28本から激減した昨年と同数だった。うち半数の6本を山梨学院の選手が占めており、低反発バットへの慣れが強打を生み出していることをうかがわせた。(池田拓哉)