<全国高校野球選手権埼玉大会:山村学園9-2西武台(7回コールド)>◇23日◇準々決勝◇レジスタ大宮球場 プロ注目・横田…
<全国高校野球選手権埼玉大会:山村学園9-2西武台(7回コールド)>◇23日◇準々決勝◇レジスタ大宮球場
プロ注目・横田蒼和(3年)を擁するDシード・山村学園vs死のブロックを駆け上がってきたDシード・西武台との一戦。
先発は山村学園が「西武台打線は直球に強いイメージがあって、2年生の投手達は勢いで行こうとするのでタイミングが合う。横田はうまく変化球が使えて合わないだろうなと思ったので」(岡野監督)と、その横田。一方の西武台は春日部共栄戦に続き左腕・追木渉登(3年)が先発し試合が始まる。
この試合横田が投打に大活躍する。
先制したのは山村学園。
「右打者は入ってくる球に対しポイントを前で、左打者はボールを長く見て変化球の見極めをしっかり。直球の勢いはあるのでフライを上げないようにベルトより低いボールを狙って行こう」(岡野監督)と、今大会これまで13打数12安打と絶好調の1番・磯心翔(3年)が右前打を放つと、1死後3番・横田も左前打を放ち1死一、二塁。続く4番・畠山明祈(2年)の打席で球場にハクビシンが乱入し一時中断する。
再開後、畠山は凡退も2死二、三塁とし、5番・田辺輝心翔(2年)が中前適時打を放ち山村学園が幸先良く2点を先制する。
山村学園は3回表にも磯の左前打と四球などで無死二、三塁とすると、横田が「変化球待ちの直球対応」でレフトフェンス直撃の適時二塁打を放ちまず2点。さらに2死二、三塁でこの日公式戦初スタメン・1年生、7番・松本智司の打球を投手が弾き、カバーに入ったセカンドが一塁へ悪送球を放り6点目。続く宮本恵介(3年)にも適時二塁打が生まれこの回一挙5点のビッグイニングを作り7点差をつける。
4回表にも四球と横田の右前打で1死一、三塁とし、続く畠山はファーストゴロも、ファーストが一塁封殺後、二塁へ送球しセーフ。その間に三塁走者が生還し8点目が入る。
8点差、山村学園サイドとすれば、埼玉栄戦同様に、横田を一旦2イニングで降ろし、本来の持ち味であるマシンガン継投に入るかと思われたが、横田の続投を決断。それには過去の西武台の集中打の歴史が関係している。
西武台は昨夏のベスト8・花咲徳栄戦、0対8の7回、コールド負け寸前から一挙7点を奪うと、その後同点とし、9回裏無死満塁一打サヨナラという場面まで追い込んでいる。
岡野監督自身も3年前の秋、西武台とこの球場で対戦した際、一時6点リードも8回に一挙6点を奪われ実際に追いつかれた経験がある。
ということで「今日はマシンガンなんて言っていられない。5回まで横田がいけば6回から1イニングずつとは思っていたんですが、5回終わった後、横田と話し合った結果、6回も続投させることにした。西武台は後半の追い上げが凄いので勝っていても勝っている気がしない。なので絶対負けないように万全の備えをした」と、この日はマシンガン継投を封印。
横田はその後も期待に応え、6回裏、8番・斉藤寿也(3年)に適時二塁打を浴び1点を失うも結局、強打の西武台打線を6回被安打7、5四死球も要所を抑え8奪三振1失点でまとめ、打っても4安打。
7回にも磯が適時二塁打を放ちダメを押す。磯はこの日も4打数3安打。今大会17打数15安打と振ればヒット状態に。
最終回は2年生左腕・亀田優次郎が1失点で切り抜ける。
結局、山村学園が終盤に強く集中打の出る西武台の反撃を封じ7回コールド9対2で2年連続準決勝進出を決めた。
「横田はここへ来て投打共に両方上がって来た。これまで負担を掛けたくなかったんですが、春が終わって横田で行こうと。ちゃんと投球練習などはやらせていませんが、そこはセンス。野球勘があるので安心してみていられる。今思えば早く投手をやらせておけば良かった(笑)。連打されても慌てませんし、良い意味でうまく手を抜きながらやっている。打者やカウントを意識して考えて投げられる。去年の西川は力投派なんで連投はキツいんですけど、横田は力投派じゃないんで連投しても変わらないはず。肩も出来るのが早い」と、岡野監督は横田へ全幅の信頼を置いている。
本人も「スタミナは練習試合でも完投しているので問題ない。今日はちょっとボールが浮いていたんですが、逆にそのボールを利用して高めをうまく使えた。西武台にやっぱり直球は打たれましたし、変化球を見せながら勝負していた。変化球は感覚で投げている。(打撃は4安打も)完全復活とは言えない。今の段階ではまずまずかなと。もうちょっと変化球も強く打てたら」と、更なる高みを目指す。
次の相手は昨秋勝利しているAシード・叡明だ。田口遼平(3年)を含め相手はリベンジに燃えているはず。横田を含め投手陣の更なる進化が問われる一戦になるのではなかろうか。