投打ともに戦力を拡充させ、安定した戦いを繰り広げている新庄監督(C)産経新聞社“逆転V”を睨むソフトバンクを「よくできま…

投打ともに戦力を拡充させ、安定した戦いを繰り広げている新庄監督(C)産経新聞社

“逆転V”を睨むソフトバンクを「よくできました」にした理由

 前半戦が終了し、いよいよレギュラーシーズンも後半戦に突入していく今年のプロ野球。セ・リーグ、パ・リーグともに徐々に上位チームと下位チームの差は開きつつあるが、ここで改めて、各球団の前半戦の戦いぶりを「大変よくできました」、「よくできました」、「まずまず」、「頑張りましょう」の4段階で評価したい。今回はパ・リーグの6球団を見ていく。

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1位:日本ハム/大変よくできました

 開幕時から順調に首位を走る安定感のある戦いぶりは、「大変よくできました」と評価できるだろう。投手陣では先発投手が圧巻。経験豊富な伊藤大海、山崎福也、加藤貴之の3人に加え、北山亘基、達孝太、金村尚真、細野晴希など若手も大きく成長。12球団でも屈指の顔ぶれとなっている。

 打線も12球団でダントツ1位となる85本塁打を記録するなど、長打で圧倒できるのが強みだ。リリーフ陣と守備面にやや不安は残るものの、投打のバランスも良い。現在の状態を維持できれば2016年以来となるリーグ優勝も見えてくるだろう。

2位:ソフトバンク/よくできました

 昨季のような圧倒的な強さこそないが、序盤戦の躓きから徐々に巻き返して優勝争いを演じている結果を踏まえて、「よくできました」と評価した。

 開幕から近藤健介、柳田悠岐、今宮健太など主力の故障が相次ぎ、抑えのオスナも不調で二軍落ちするなど誤算となる材料が多かったが、それでもこの位置にいるというところに地力を感じる。投手ではアメリカ帰りの上沢直之や若手の松本晴、前田純が戦力となり、高卒2年目の前田悠伍も初勝利をマーク。野手では柳町達、野村勇の中堅が存在感を示している。ここに離脱していた主力が調子を上げてくれば、逆転でのリーグ優勝の可能性も十分にありそうだ。

3位:オリックス/よくできました

 昨季5位に沈んだチームは見事なV字回復。序盤に首位争いを演じたチームにあって、存在感を示したが打線。西川龍馬、頓宮裕真、杉本裕太郎の実績組に加え、太田椋と広岡大志が大きく成長。また捕手の若月健矢も、怪我で離脱した森友哉を補う活躍を見せている。

 一方の投手陣ではFAで加入した九里亜蓮が開幕から勝ち星を伸ばし、3年目の曽谷龍平もチームトップの8勝をマーク。気になるのは故障者が続出しているリリーフ陣で、開幕後に岩嵜翔を中日から獲得したが、まだ手薄な印象は否めない。後半戦での優勝争いに食らいついていくためには、ブルペン陣の整備がカギとなりそうだ。

佐々木朗希の退団が痛かったロッテへの評価は?

4位:西武/まずまず

 歴史的な大敗を喫し、昨季に最下位に沈んだ名門は、自前の若手を中心とした構成でAクラス争いを演じるまでに成績を上げてきた。最大の強みは強力な先発投手陣だ。今井達也と隅田知一郎の二枚看板は安定感抜群で、高橋光成、渡辺勇太朗も昨年から大きく成績を伸ばしている。さらに怪我で出遅れていた昨年の新人王である武内夏暉も復帰し、復調の兆しを見せている。

 一方の打線は新外国人のタイラー・ネビン、ドラフト2位ルーキーの渡部聖弥が見事な活躍を見せているものの、上位球団と比べるとまだまだ力の差は大きいのが現状。来季以降の戦いを見据え、後半戦は若手野手のさらなる底上げに期待したい。

5位:楽天/頑張りましょう

 三木肇監督が5年ぶりに復帰するも、優勝争いに加わることができずに5位に沈んでいる。大きな課題は長打力、得点力不足で、チーム本塁打33本は12球団でも最下位。主砲の浅村栄斗の不振が大きな誤算で、それをカバーすることができなかった。

 投手陣も絶対的な先発の柱が不在で、リリーフ陣も強力とは言えない。後半戦に向けて期待したいのが、今夏に加わったオスカー・ゴンザレスとルーク・ボイトの両助っ人スラッガー。ともにパワーは申し分ないだけに、日本の投手に上手く対応できれば、相当な戦力となる可能性は高い。彼らが機能すれば、まだAクラス争いに加わる可能性もあるだろう。

6位 ロッテ:頑張りましょう

 セ・リーグで最下位に沈むヤクルトほどではないものの、5位から大きく離されて最下位に沈んでいる。投手では退団した佐々木朗希とC.C.メルセデスの穴を埋めることができず、野手ではグレゴリー・ポランコ、ネフタリ・ソトの両主砲の不振が大きく影響しているように見える。

 また、リリーフ陣も長年抑えを務めた益田直也を筆頭にベテランが揃って成績を落としており、穴埋めができていない印象だ。それでも投手では田中晴也、木村優人、中森俊介、野手では山本大斗、寺地隆成など若手が台頭してきたのはプラス要因。後半戦は若手の勢いを加速させて、何とか来季に繋げてもらいたい。

[文:西尾典文]

【著者プロフィール】

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。

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