先取点を奪われて迎えた四回、1死二、三塁の好機で日章学園の4番打者、徳丸幸誠一塁手(3年)が打席に入った。「自分のバッ…
先取点を奪われて迎えた四回、1死二、三塁の好機で日章学園の4番打者、徳丸幸誠一塁手(3年)が打席に入った。「自分のバットでかえしてやる。積極的にいこう」。直球を狙っていたが、初球の落ちる変化球にうまく対応して振り抜いた。
右翼に大きなフライが飛ぶのを見て「翼なら必ずかえってくれる」と確信した。その思い通り、三塁走者の黒木翼主将(3年)が本塁を踏んで同点に。「ヨッシャー」。心の中で叫んだ。
1点リードで迎えた六回、再び好機で打席に。第1シードの相手に点差を広げたい場面だ。「必ず決める」と自身を鼓舞して変化球に食らいついた。鋭いライナーを右翼前に放ち、適時打に。ここでも気持ちがバットに乗り移った。
学校の休み時間、食事の合間、練習を終えて寮に戻ってからも時間があれば納得いくまでバットを振り続けてきた。その成果が準決勝の大舞台でも発揮された。「試合前は緊張しかなかったけど、打席では冷静になれた。自分のやってきたことに間違いはないと自信を持てた」
小学生の頃から一緒にプレーしてきた黒木主将と野球を続けたいと、福岡県から日章学園に。その幼なじみが一人でチームを背負い、引っ張る姿を見てきた。「俺はバットで助ける」。その思いを存分に果たして、最後の夏を終えた。(吉田啓)