(24日、第107回全国高校野球選手権香川大会準々決勝 観音寺一3―2坂出商) 「頼む、同点にしてくれ」 1点を追いか…
(24日、第107回全国高校野球選手権香川大会準々決勝 観音寺一3―2坂出商)
「頼む、同点にしてくれ」
1点を追いかける九回裏、坂出商2死一塁で、一塁コーチボックスに立つ古屋奏翔(かなと)選手(3年)は祈るように一塁走者を見つめていた。
高校1年の12月、朝起きると腰に激痛が走った。高校に入り本格的なウェートトレーニングを始めてから、痛みを感じるようになっていた。病院へ行くと「腰椎椎間板(ようついついかんばん)症」と診断され、医者から「痛みが治まれば練習できる」と言われた。しかし、痛みは消えず、寝つけない時すらあった。
半年ほどたっても痛みは引かなかった。選手としての復帰は無理だと感じつつ、「ここでやめたら悔いが残る」とも思った。チームのサポートでも3年間続けたら何か得られるかもしれない――。そう思い、昨年7月、当時の監督に学生コーチとしてやっていきたいと願い出た。
コーチとして、練習メニューの作成や選手への助言役などを担った。日野祐成主将(3年)は「視野が広くて頼れる存在」と話す。今大会は背番号「19」を背負って、走者に指示を出す役割を任された。
試合はその後、盗塁などで2死一、三塁までチャンスを広げたが、最後は内野ゴロに打ち取られ、最後の夏が終わった。「今までで一番いい試合だった」
野球はこれで終わりにして、大学進学を目指す。「3年間がんばった努力を今後に生かしていきたい」(木野村隆宏)