<2025年全国高等学校野球選手権愛知大会:中京大中京9―2名古屋たちばな(8回コールドゲーム)◇23日◇準々決勝◇小牧…

<2025年全国高等学校野球選手権愛知大会:中京大中京9―2名古屋たちばな(8回コールドゲーム)◇23日◇準々決勝◇小牧市民球場

 いよいよベスト8対決となった愛知大会。再抽選で組み合わせが決まった準々決勝以降は、全国最多の182校、173チームの中から勝ち残った8校で、第2ステージと言ってもいいであろう。ベスト8の顔触れの中で、昨年に続いての進出を果たしているチームは5校ある。そのうちの2カードが、昨年と同じ対戦となった。この試合も、その一つである。

 昨夏は、ノーシードから享栄、大府、愛工大名電と軒並み甲子園出場実績のある実力校を下して進出してきた名古屋たちばな。愛産大工から校名変更した直後ということもあって、そのことも話題になった。

 その名古屋たちばなを大接戦の末に6対5で下して、そのまま頂点へ登りつめたのが中京大中京だった。

 中京大中京は、昨夏も何度か修羅場でマウンドを託され、凌いできた田中 太久哉投手(3年)や佐藤 爽楽投手(3年)に村上 颯内野手(3年)ら、その夏のメンバーが何人か残ったこともあって経験値も高い。昨秋も県大会準優勝で東海大会にも進出した。今春も県大会ベスト4に進出して、確実にシード権を獲っている。

 ここまで派手な勝ち方はしていないが、多少は苦しみながらも、着実に勝ち上がってきている。特に、失点が少ないのは、今年の中京大中京の特徴であり、伝統と言ってもいいだろう。

 一方の名古屋たちばなは、この夏も注目を集めている。石川 萬才投手(3年)と左の織田 優太投手(3年)と中島 稜太投手(3年)の三本柱を中心として、鈴木 将吾監督もしっかりと計算してやりくりをしてきているという印象だ。鈴木監督としては、母校に挑むという形にもなる。中京大中京の高橋 源一郎監督は高校、大学の後輩でもある。

 そんな縁もある対決。この夏、中京大中京は2年連続優勝を目指し、名古屋たちばなは初優勝を目指す。

 結果的には、中京大中京が8回に一挙7点を奪い、コールドゲームにはなった。しかし、7回までの試合は緊張感のある試合で、微妙な勝負の綾が絡んだ。

 5回を終わって名古屋たちばなが1点リード。ここまで、名古屋たちばなは先発中島投手が0に抑えていた。追いかける中京大中京はこの回から代わった石川投手に対して、四死球と、この試合でスタメン起用された澤野 天選手(3年)の内野安打などで二死満塁とする。ここで、勝負をかけた高橋監督は、代打に1年生の神達 大武選手を送り出すが、それが当たって2点タイムリーで逆転。しかし、名古屋たちばなもその裏に、この回から佐藤投手をリリーフした田中投手から、連打とスクイズで同点とする。

 こうして緊張の試合は続いていく。そして迎えた8回、一死一、三塁の場面で神達選手に回るが、名古屋たちばなベンチは申告敬遠。満塁策をとって、次打者の併殺を狙った。しかし、9番萩坂 春哉選手(3年)が意地を見せて、三遊間を破り再びリードを奪った。そして、ここからは中京大中京打線が怒涛の攻撃となって3本の長打も出て、7点のビッグイニングに。その裏は田中投手がしっかりと3人で抑えてコールドゲームとなった。

 髙橋監督は、「大会に入って、8回のような攻撃がなかなかできないで苦しんでいました。神達は1年生ながら、打撃センスがよく、勝負強いので思い切って代打で行かせました。8回の申告敬遠は、その後の萩坂が本当によく打ってくれた。こういう勝ち方は大きい」と、勝利に安堵していた。

 鈴木監督は、「ここまで、3人の投手を軸によくやってくれた。彼らがいたから、強いところとも練習試合をやって貰えて、チームも強くなれた。ただ、ここからのあと一歩。その壁はやはり厚いです。だけど、持てる力は十分に出し切れた」と、選手たちをねぎらっていた。