<2025年全国高校野球選手権大会東東京大会:岩倉6-2帝京>◇23日◇準々決勝◇明治神宮野球場帝京打線に岩倉の投手陣が…
<2025年全国高校野球選手権大会東東京大会:岩倉6-2帝京>◇23日◇準々決勝◇明治神宮野球場
帝京打線に岩倉の投手陣がどう立ち向かうかが焦点になった一戦。岩倉の豊田 浩之監督は、「帝京高校は踏み込んでくる。外中心になったら、やられる」と考えた。岩倉の先発・上原 慶大(3年)は、「気持ちは強く、頭は冷静に投げました」と語る。上原はこの試合、4回2/3を被安打3の無失点に抑える。「インコースでカウントが取れました」と語る。
2回表、帝京の先発・黒木 大地(3年)から、岩倉は9番・河村 柊希捕手(2年)の2ランで2点を先制する。さらに3回表、二塁打を放った岩崎 佑志外野手を、7番・高橋 歩夢外野手(3年)の右前安打で還し、さらに1点を追加する。
豊田監督は最初から「継投で行くことを決めていました」と言い、5回裏の途中から2年生の佐藤 海翔を投入する。岩倉には佐竹 翔太(3年)という好投手がいるが、メンタルの強さを考え、佐藤を投入する。佐藤はもともと捕手で、本格的に投手になったのは、高校入学後だ。足を高く上げるモーションから、サイド気味の腕の振りで、キレのあるボールを投げ込む。河村との2年生バッテリーは、思い切った内角攻めで、帝京打線を抑える。
6回裏帝京の攻撃で、この回の先頭打者である主将で4番の梅景 大地内野手(3年)が、この試合2回目となる死球で出塁すると、5番・安藤 丈二内野手(2年)が右前安打で続き、犠打と犠飛で1点を返す。
しかし岩倉は、7回表に2点、8回表には9番・河村のこの試合2本目の本塁打でさらに1点を入れて突き放す。
一方強気に内角攻めの投球をする佐藤―河村の2年生バッテリーだが、7回裏この回の先頭打者、帝京の2番・飛川が死球で出塁すると、一死後に4番・梅景は、自打球を顔面に受けた上に、この試合3回目となる死球となり、場内も騒然としてくる。帝京はこの回得点できなかった。
6ー1と岩倉が5点をリードして迎えた9回裏、帝京は1番・酒井 大雅外野手(3年)が二塁打で出塁する。しかし後続の2人が倒れ二死となり、打席にはこの試合3打席連続死球の梅景が入る。1ボール2ストライクと追い込まれていたが、ファウルの後の5球目が死球、しかも今度は頭部とあって、またも騒然となる。その後、安藤の二塁打で帝京が1点を返したが、反撃もここまで。6-2で岩倉が勝ち、準決勝進出を決めた。
岩倉のバッテリーの強気の内角勝負は、そう簡単にできることではない。とはいえ、死球7はあまりに多すぎる。試合後、岩倉の豊田監督は、帝京の金田 優哉監督に謝罪した。2番手として登板した佐藤は、1人で死球を6個も出したことは問題がある。それでも「逃げたら負けだ」と強気の攻めを続けたことに、今後の可能性を感じる投球だった。また帝京も逃げずに立ち向かった。魂がぶつかり合った好ゲームだった。