(23日、第107回全国高校野球選手権千葉大会準々決勝 八千代松陰7―4千葉黎明) 九回裏1死一塁、最後のチャンス。千葉…
(23日、第107回全国高校野球選手権千葉大会準々決勝 八千代松陰7―4千葉黎明)
九回裏1死一塁、最後のチャンス。千葉黎明の主将、山本大我(3年)は笑顔で打席に立った。狙いは直球。「楽しんで打ってやろう」。4球目の変化球を捉えたが右飛球になり2死。後続も倒れ、春夏連続の甲子園出場を目指した戦いが終わった。
売りは堅い守備、攻撃は「山本が打てば勝つ」。元はそんなチームだった。だが練習試合で速球を投げる相手に全員で食らいついた経験で、「主将頼み」を抜け出した。昨秋の県大会を制し、関東大会4強で選抜への切符を手にした。
それでも全国の壁は厚かった。選抜では強豪・智弁和歌山を相手に堅守を見せたが0―6で敗退した。
「打てないと勝てない」。ピッチングマシンの球速を140キロに設定して速球対策に励み、守備練習に使っていた時間も打撃練習にあてた。功を奏し、秋季大会で3割1分6厘だったチーム打率は今大会では最終的に3割9分6厘まで上がった。
山本自身も、以前にも増して打線を引っ張った。4回戦の我孫子東戦では、1点を追う九回裏2死一、三塁で、適時打を放って延長に持ち込み、サヨナラ勝ちにつなげた。
この日も4打数2安打と意地を見せたが、及ばなかった。「悔しかったけど、緊迫した良い試合を最後にできて楽しかった。高校野球は甘い世界じゃないと身に染みて感じました」。今大会の山本の打率は5割。チームを引っ張り続けた主将は、感情を抑えながら話した。=県SC(芹沢みなほ)