今、関東地区の高校生内野手で評価を高めているのが、八王子の大型遊撃手・新井 唯斗内野手である。183センチ77キロと恵ま…
今、関東地区の高校生内野手で評価を高めているのが、八王子の大型遊撃手・新井 唯斗内野手である。183センチ77キロと恵まれた体格から広角に長打が打てる打撃技術と、高い身体能力を生かした遊撃守備が持ち味の逸材である。
この夏、多くのプロ球団が複数体制で新井をチェックしている。
ところで、新井は2年秋までセンター。冬からショートにコンバートされた。その理由を八王子の安藤徳明監督はこう語る。
「まず現在のチームにショートがいなかった。下級生にショートはいたのですが、エラーも多く、現在のチームで下級生が守備の要を担うのは、やや荷が重かった。そこで新井にやらせてみることになりました。一時的になるかなと思ったら想像以上にフィットしましたね」
実際に守備を見ると、経験が短いとは思えないほど様になっている。打球に追いつくまでのスピードが速い。さらに捕球してから、送球するまでの動きが速く、ヒット性の当たりを阻止している。深い位置からでもアウトにできる強肩ぶりも光る。
ただ、ボールの処理に甘いところがあり、5回戦の明星戦でもミスがあった。細かなミスを減らせばもっと安定感が増すだろう。
走塁では脚力の高さ、相手の隙が見られれば積極的に二塁を狙う走塁姿勢も魅力だ。
打撃については、春と比べると調子を落としている。グリップの位置が高く、バットを立てた状態で構える。歩幅を広く取って構える選手も多い中、新井は歩幅を狭めて構えるのが特徴だ。トップを深く取って、すくい上げるようなスイングを見せる。夏はややトップの立ち遅れが見られ、引っ掛けたような打球が多い。この夏、西東京大会3回戦から5回戦までの3試合ですべて複数安打を記録しているが、ライナー性の打球が見られない。
新井自身も「夏はヒットを打っていますけど、納得いく打球はないです」と語り、安藤監督は「彼の場合、もっといい打球が飛びます。ライナー性でここまで伸びるのか…と驚くような打球を打ちます。彼自身も良くないのは分かっているはず。よく練習をする子なので、余計な事は言わずに見守っています」と復調を期待している。新井は打撃のバロメーターとして打球の伸び方を挙げる。
「とにかく引っ掛けたり、ドライブ回転せずに、ライナー性で真っ直ぐ伸びる打球が打てれば理想です。残りの練習期間で修正できればと思います」
調子は良くない中でも、広角にヒットが打てるバットコントロール、スピーディな動きを見せる遊撃守備、走塁センスを兼ね備えた大型遊撃手で、ドラフトでは本指名候補に入る選手ではないか。プレースタイルを見ていると、ヤクルトの長岡秀樹内野手（八千代松陰）の高校時代を彷彿とさせる。
この夏、さらにインパクトのある活躍を見せることができるか注目していきたい。
