(23日、第107回全国高校野球選手権愛知大会準々決勝 中京大中京9―2名古屋たちばな=8回コールド) 八回表、相手の…
(23日、第107回全国高校野球選手権愛知大会準々決勝 中京大中京9―2名古屋たちばな=8回コールド)
八回表、相手の猛攻を受け、同点から勝ち越され、さらに点差が広がる。名古屋たちばなの背番号11、中島稜太投手(3年)はベンチで昨夏を思い出していた。同じ準々決勝の中京大中京戦。3点リードの七回に3番手の中島投手が連打され、一気に逆転された苦い記憶があった。
福井市出身。鈴木将吾監督から「(中京大中京ら)愛知の『私学4強』を倒して甲子園に行こう」と誘われ、家族のもとを離れた。
右足をゆったりと2度上下させる2段モーションが特徴的な変則左腕だ。昨夏、愛知大会3連覇中だった愛工大名電を完封し、愛産大工から昨年変わった「名古屋たちばな」の新校名を広く知らしめた。しかし、次戦で中京大中京に攻略された。「相手から逃げて外角ばかりの配球になってしまった」
それからこの夏まで、リベンジをめざして練習してきた。冬に体重を増やし球威が増したことで、内角も強気に突けるようになった。
今大会、中島投手ら3投手を軸とした継投でノーシードから勝ち進み、再びつかんだ昨夏覇者・中京大中京への挑戦権。大一番に福井から駆けつけた家族には試合前、自分にも言い聞かせるように伝えた。「いつも通りがんばるよ」
先発した中島投手は内角の球でカウントを稼ぎ、5回無失点と自身はリベンジを果たした。しかし、ここまで同じ副主将として支え合ってきた3番手の織田優太投手(3年)がつかまった。八回途中でマウンドを降りる織田投手に「諦めるな、絶対にひっくり返せる」と声をかけたが、それを現実にはできなかった。
私学4強の壁は、最後まで厳しく立ちはだかった。「悔しさはもちろんある。でも、最後までやりきれた」(松本敏博)
■試合の経過
同点の八回、中京大中京は萩坂の適時打で勝ち越し、その後も3連続適時打で突き放した。投げては佐藤と田中太がピンチを最少失点で切り抜けた。名古屋たちばなは二回に萩迫の適時打で先制したが、六回以降の継投が裏目に出た。(松本敏博)