クレイグ・シェイクスピア監督を解任したレスター・シティで、岡崎慎司が先発に復帰した。 10月21日に行なわれたプレ…

 クレイグ・シェイクスピア監督を解任したレスター・シティで、岡崎慎司が先発に復帰した。

 10月21日に行なわれたプレミアリーグ第9節スウォンジー・シティ戦で、マイケル・アップルトン暫定監督は岡崎を先発起用。4-4-2の2トップの一角に入り、攻守両面で大きな存在感を示した。



リーグ戦で今季4ゴール目を決めた岡崎慎司

 キックオフ直後から、岡崎は危険なムードを匂わせた。開始1分にはMFマーク・オルブライトンのクロスボールからヘディングシュート。10分にも右サイドからクロスを入れ、オルブライトンのゴールチャンスを生んだ。カウンターからロングパスでFWジェイミー・バーディーに好機をもたらすなど、「豊富な運動量」「鋭い動き」「積極的な攻めの姿勢」で相手ゴールに迫った。

 一方、守備の貢献度も高かった。「僕が(相手の)キープレーヤー、7番(MFレオン・ブリットン)を抑えながら守備をするというのがポイントだった」(岡崎)との言葉どおり、中盤の底の位置からパスを供給するアンカーのブリットンをほぼ完璧に抑えた。前半45分だけでブリットンが交代を命じられたのが、岡崎の守備が効いていた動かぬ証拠だ。「守備をしっかりやりながら、攻撃時にはバーディーとチャンスをうまく作れていたかな」と、本人も自画自賛の内容だった。

 そして、何よりも大きかったのは、岡崎の復帰でレスターが「らしさ」を取り戻したことである。

 精力的にピッチを走り回る背番号20は、守備時に「インサイドハーフみたいな形で下がって」(岡崎)後方部をサポートし、プレスとプレスバックで敵のパスコースを限定させた。そして攻撃時になると、ペナルティエリア内まで突っ走ってゴールを狙う。ワンタッチで叩いて攻撃のリズムを生んだり、相手を背負いながらターンして局面打開を図ったりと、岡崎は実に多くの仕事をこなした。

 おかげでレスターは、「まずはきっちり守備を固め、ショート&ロングのカウンターで攻撃を仕掛ける」という原点に立ち戻ることができた。アップルトン暫定監督も「すばらしい仕事をしてくれた」と日本代表FWを賞賛。試合後の岡崎は「こういう状況になると、自分が先発でまた使われるという。(監督交代時に先発に復帰するのは)いつも簡単なことじゃないんですけど」と苦笑いを浮かべていたが、「むしろ、『頼む』みたいな感じでしたけど」と、周囲に期待されてピッチに送り出されていたことを明かした。

 そんな周囲の期待に応えるかのように、ゴールでもチームを助けた。1-0のリードで迎えた49分。エリア内でMFリヤド・マフレズが落としたボールを押し込み、国内リーグ戦で4点目を挙げた。

 その得点シーンには、岡崎の持ち味が凝縮されていた。ボールがマフレズに渡りそうになったタイミングで、日本代表FWはダッシュを開始。相手選手よりも前に出て、フリーになってラストパスを呼び込んだ。

 加えて、マフレズとの息の合った崩しでねじ込んだゴールでもあった。「(チームメイトが)シンジはこうするだろう、ということがわかってきていると思う。プラス、こういうことも好きなのか、と理解してきてもらっているようにも思います」と岡崎が語っていたように、アシストしたマフレズが日本代表の走り出しを瞬時に感じ取って、ピタリと足もとにパスをつけた。

 バーディーやオルブライトンとの連係も向上しており、「今日みたいなチャンスを決めていく。決めてさえいけば、『こいつに出しておけば』という相乗効果が出てくるので。いい状態できているかな」と本人も手応えを掴んでいた。

 思い返せば、昨シーズン途中でクラウディオ・ラニエリ監督を解任し、クレイグ・シェイクスピアが暫定的に指揮を執ることに決まった直後の試合でも、岡崎はベンチから先発に復帰した。当時シェイクスピア暫定監督は「原点回帰」を合言葉に岡崎を先発に復帰させ、強豪のリバプールを3-1で撃破。このときも、岡崎は勝利の立役者となった。

 今のレスターにとって、岡崎は間違いなく不可欠な存在である。岡崎が加わった攻撃は前節に比べて見違えるほどスムーズになり、前線からかける圧力の強度も上がった。しかも、高い位置でボールを奪えるようになり、最前線に陣取るバーディーの危険度も上昇。岡崎が執拗なプレスでパスコースを抑えることから、中盤でのボール奪取率も高まる。攻守両方でスイッチを入れる「レスターの心臓部」と、そう表現していいだろう。

 しかも、本人は好調を維持している。ここまで国内リーグ戦とリーグカップで出場したのは11試合中8試合で、限られた出番のなかでも計5ゴールというハイペースで得点を重ねている。また、10月の日本代表戦で未招集だったことから、今回のスウォンジー戦は約3週間ぶりの公式戦出場だった。十分な休養がとれたおかげで、リフッシュした状態で臨めている。

 レスターに加入した2015年以降、シーズン中の監督交代は今回で2度目。いずれも、原点回帰をテーマに岡崎を先発に復帰させ、その日本代表もきっちり役目をこなした。

「点を決めていれば、『自分はやることをやれた』と自信を持っていけるので。まあ、これからですね。まだ始まったばっかりなので」と岡崎。

 チームは突然の監督解任に揺れているが、岡崎の考えにブレは一切なく、むしろやってやろうという気概に満ちているように映った。