(23日、第107回全国高校野球選手権島根大会準決勝 松江南4―1益田東) 益田東のエース蟹江怜音投手(3年)は準々決勝…

(23日、第107回全国高校野球選手権島根大会準決勝 松江南4―1益田東)

 益田東のエース蟹江怜音投手(3年)は準々決勝まで3試合に登板し、計312球を投げた。この日は、大庭敏文監督に「ピンチになったら行くぞ」と告げられ、右翼の守備についた。

 先発は梶谷壱人投手(1年)。四回に1点を取られたが、要所を締めて四回2死まで投げて先発の役目を果たした。

 昨夏の2回戦で、2年だった蟹江投手もマウンドに立った。「自分が3年生を甲子園へ連れて行く」。六回からリリーフし、気迫の投球で計4回をすべて三者凡退に打ち取ったが、1点差のまま敗れた。

 この1年間、「あの日の悔いを全部ぶつける」と、走り込みと食事で体づくりに励んだ。チームも「寮では黙食」と定め、栄養と量を短時間で摂取するよう心がけた。ウェートトレーニング時に流していた音楽をやめるなどし集中力を高めた。

 七回、リリーフした橋本奏太投手(3年)が2点本塁打を浴び、八回から蟹江投手がマウンドへ。長短2安打を許しながらも好投したが、味方打線の援護は1点にとどまった。「投げさせてくれって、早く監督に言えばよかった。人任せにしてしまった」と試合後に振り返った。

 またも悔いは残ったが、好投した梶谷投手には「堂々としていて躍動感もあった。島根を代表する投手になってほしい」。先輩のまなざしで、たたえた。(中川史)