(23日、第107回全国高校野球選手権埼玉大会準々決勝 昌平15―8川越東) 敗戦濃厚でも、笑顔を絶やさなかった。この夏…

(23日、第107回全国高校野球選手権埼玉大会準々決勝 昌平15―8川越東)

 敗戦濃厚でも、笑顔を絶やさなかった。この夏のマウンドで投げられたのは、それくらい特別なことだったから。

 川越東の遠藤芳晃投手(3年)は七回表から登板した。

 2死一、二塁。対峙(たいじ)したのは、昌平の3番打者の諏江武尊選手(3年)。この試合でも本塁打で3打点。4回戦にはサヨナラ満塁本塁打を放っている。

 ここは、必ず抑える。

 3ボール2ストライクまで追い込んだ8球目、腕を思い切り振って得意の外角スライダーで見逃し三振に仕留めた。

 遠藤選手は、1月末に右ひじを痛めて剝離(はくり)骨折していた。春はベンチにさえ入れなかった。

 小1から続けてきた野球人生の集大成の夏にも間に合わない可能性があった。ほかの部員とは別メニューでリハビリに専念して、メンバー登録の期限直前に間に合った。

 3回戦は六回コールド勝ちの試合を1失点で一人で投げきった。

 必ず0点に抑えてくれ。背番号16の右腕は、準々決勝の大舞台でもチームの期待に応えた。「最後に、このピッチングができて良かった」。涙とともに夏を終えた。(折井茉瑚)