(23日、第107回全国高校野球選手権青森大会準決勝 弘前学院聖愛3―2青森山田) 土壇場の九回、1点差に迫り1死一塁…

 (23日、第107回全国高校野球選手権青森大会準決勝 弘前学院聖愛3―2青森山田)

 土壇場の九回、1点差に迫り1死一塁。4番の重圧がのしかかった。それでも、「最後は自分の一打でチームを勝利に導く」と心に決めて、蝦名翔人選手(3年)は打席に向かった。

 昨夏も主力選手として活躍し、4月には18歳以下(U―18)日本代表候補の強化合宿に招集されたチームの主砲。だが、今大会は準々決勝まで10打数2安打、打点なしと思うような打撃ができず、「チームに迷惑をかけた」。それでも仲間たちがつないでくれ、全員野球で勝ち上がってきた。

 この1年は4番打者のプレッシャーに苦しんだ。昨年の4番・原田純希さんと比べられ、「やっていけるのか」と不安に押しつぶされそうになったこともあった。

 不安をぬぐい去るため、毎日休まず、ひたすらバットを振った。手にできたマメを自信に変えた。結果が出ない時も、仲間は「(4番は)おまえしかいない」と励まし続けてくれた。

 苦しい展開となった準決勝。最後に仲間がつないだ好機に「打って次につなぐ」と3球目を強振したが、打球は三塁側ファウルゾーンへの飛球に。遊撃手のグラブに収まり、後続も断たれた。

 「チームを勝たせられなくて申し訳ない」と涙が止まらなかったが、ともに戦ったメンバーたちと抱き合い、2年半の感謝を伝えた。「最高の仲間と最高の思い出ができました」(野田佑介)