<2025年高校野球選手権静岡大会:藤枝明誠7-0清水東>◇22日◇4回戦◇浜松球場 2017(平成29)年夏に、甲子園…
<2025年高校野球選手権静岡大会:藤枝明誠7-0清水東>◇22日◇4回戦◇浜松球場
2017(平成29)年夏に、甲子園初出場を果たしている藤枝明誠。1983(昭和58)年の創立で、野球部も同年創部。近年は県内で上位校として、注目されている存在だ。今大会は、ノーシードながら、3回戦ではこの春に旋風を巻き起こしてシード校となっていた磐田南に延長11回、タイブレークで先行されながらも、その裏に逆転しての勝利で勝負強さを示している。藤枝明誠の光岡孝監督は、その次の試合ということで、ちょっと気持ちが緩んでしまうことだけを心配していたという。
かつて、春夏で4度の甲子園出場実績のある清水東。しかし、1977(昭和52)年春以降の甲子園出場はない。このところは、公立の中堅校として、どちらかと言うと古豪という位置づけになっている。
清水東の先発は下手投げの疋田 岳士投手(3年)だが、下手からふわりと浮いてくるような感じの球は、打ちづらいと思わせるものだった。事実、藤枝明誠打線は4回までは1安打のみで封じ込まれていた。一方の藤枝明誠の筒井 結斗投手(3年)も、力で押していくタイプではないが、丁寧にコースを突いていきながら上手に打たせていく投球で、4回まで清水東打線を、これまた1安打に抑え込んでいた。
こうして、いい投手戦になっていく気配が十分だった。
ところが5回、藤枝明誠は中川 瑛太選手(1年)の死球後、バントで二塁として、8番高倉 叶太郎選手(1年)が中前打して迎え入れて先制点を奪った。これが起爆剤となって、1番井手尾 哲兵主将(3年)と高橋 大翔選手(2年)が連打。ここから勢いがついて、この回一気に7点を奪うビッグイニングとした。
清水東ベンチは、疋田投手を下げて、左腕・尾関 良介投手(2年)、土屋 智暉(3年)と、細かく繋いでいこうとしたが、四球や安打などで、アウトが取れず、齋藤孝之監督はこの回4人目として1年生の入沢 晄太郎投手を投入して、何とか止めた。気がついたら7失点になっていたという状況だった。
そして、藤枝明誠はこのリードを筒井投手がしっかりと守り切る形で7イニング完封。被安打1と与四球1のみというのは、見事な内容だった。
それでも光岡監督は、「本当は6回か7回にあと1点取ろうということを言っていました。その1点が取れなかったことは、ちょっと残念でした」と、振り返っていた。
試合後には光岡監督のもとを、現在愛知大会ベスト8まで進出している豊橋中央の萩本将光監督と選手たちが訪れていた。豊橋中央は今日は試合がなく、翌日の試合もサマータイムで16時30分予定ということもあり、「親しくさせて貰っているチームを応援して、自分たちのエネルギーにしていこう」という思いもあったようだ。光岡監督と萩本監督は中京大中京の先輩後輩という関係でもあり、光岡監督が中京大中京でコーチをやっていた頃の教え子でもある。
年に4~5回、練習試合も組んで、お互いの成長を確認し合いながら切磋琢磨している関係でもあるという。チームの選手同士も非常に仲がいいという。こういうチーム同士の友情があるというのもまた、高校野球の素晴らしさである。
現在、お互いにベスト8にたどり着いた。「ここからが、本当の勝負だよ」と、お互いに励まし、刺激し合っていた。