<全国高校野球選手権鹿児島大会:聖望学園13-12大宮北>◇21日◇5回戦◇レジスタ大宮球場 Cシード・大宮北とDシード…
<全国高校野球選手権鹿児島大会:聖望学園13-12大宮北>◇21日◇5回戦◇レジスタ大宮球場
Cシード・大宮北とDシード・聖望学園との一戦。
試合は両校30安打を放つ壮絶な打撃戦となった。
大宮北は左サイドのエース伊藤実遥(3年)、一方、聖望学園は背番号10の大淵祐輝(3年)が登板し試合が始まる。
聖望学園・大淵は初回から大宮北打線に捉まる。
先頭の延原孝介(2年)に左中間へ二塁打を浴びると、その後3番・川端峻(3年)、6番・森下湧人(3年)に適時長短打を浴び3点を失う。さらに続く柴田大悟(3年)にも2ランを浴び初回から5点のビハインドを背負う。
聖望学園もその裏、3番・大羽達也(3年)の適時打で1点を返すも、2番手・庄司直史(3年)も大宮北打線の勢いを止められず、4番・橋本海里(3年)、5番・茂木大輝(3年)に連続適時打を浴びさらに2点を失い1対7と6点のビハインド。
聖望学園は3回裏にも、2死二、三塁から相手の悪送球で2点を返すが、4回表に3番手・木村仁(3年)が川端、茂木、8番・関口慶(3年)にヒットを浴びると、失策なども絡み3点を失う。4番手・鶴淵翔大(3年)も相手の勢いを止められず、9番・西垣太智(3年)と伊藤に適時打を浴びるなど、この回5失点を喫し、3対12と、この試合最大となる9点のビハインドとなった。
コールドがよぎる展開も、聖望学園ベンチはまだ明るく、エース中村紀翔(3年)を登板させる雰囲気もなかった。このあたり「9点ビハインドでも打線には返せる自信があった」と、浮中監督は、振り返る。
案の定、その裏、聖望学園の猛反撃が始まる。
9番・小池龍都(3年)、1番・近藤翼(3年)、2番・北川新大(3年)、3番・大羽の4長短打で2点を返すと、さらに4番・毛利祐斗の犠飛や7番・森合大地(3年)の2点適時二塁打などで5点を奪い返し再度4点差とし試合の流れが変わる。
投げては鶴淵が5回以降、大宮北打線を無失点に抑えると、打線は7回裏に、大羽の犠飛と5番・花崎力斗(3年)の2点適時打でついに1点差まで迫る。
こうなると流れは聖望学園。
8回からエース中村が登板しきっちり抑えると、その裏大宮北の2番手・延原に対し、1死二、三塁から近藤が中前2点適時打を放ちついに13対12と逆転。
聖望学園が最大9点差、コールド負け寸前からひっくり返し、大宮北に大逆転勝利でベスト8進出を決めた。
「鶴淵、中村以外で何とかまとめられたらと考えていたが、とにかく大宮北打線は凄かった。本当に追い込まれてコールドまであるんじゃないかと思っていた。ホッとしています」と、浮中監督は反省しきりであったが、「特に今日は鶴淵が頑張ってくれて打線も自分達の基準を変えず全員が最後まで諦めることなく、本塁打ではなく全員で繋いでくれた。これまで練習試合などではビハインドになると沈んでいたが、前の浦和麗明戦で1点ビハインドから逆転できた成功体験から一丸となっていている」と、選手の成長に目を細める。
「いつも通りではなかったんですが、スタンドも含め誰も諦めるものはいませんでした。決勝打の所を含め、今までは自分が自分がってなっていたんですが、全員野球になってきた」と、近藤もチームの充実ぶりに胸を張る。
結果的にはエース中村を消耗せず、最高の形で次のAシード・叡明戦へ臨めることとなった聖望学園。
勢いに乗った聖望学園は今後も他校の脅威となるのではなかろうか。