Jリーガーが代表メンバーの「E-1選手権」は、日本の優勝で幕を閉じた。そして、その活躍はJリーグへと興味を移行させる。…
Jリーガーが代表メンバーの「E-1選手権」は、日本の優勝で幕を閉じた。そして、その活躍はJリーグへと興味を移行させる。例年以上の大混戦となっているJリーグの「これまで」と「今後」について、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が激論を交わす!
■誰よりも走って「一番点を取る」埼玉の子
――浦和レッズには大きな期待が抱けないとのことでしたが、どんな点が物足りないのでしょうか。
大住「やっぱり、得点力がないんだよね。この選手、というストライカーがいない。ならば皆でどんどん点を取ればいいんだけど、そういうわけでもない。21試合して26得点というのは、やはり物足りないよね。チーム最多の6点を決めている渡邊凌磨は大したものだけど」
後藤「だけど、ボランチの選手がチーム最多得点というのは、どうなんだろうね。ただ、渡邊自身は浦和に行って、すごく成長したよね。FC東京では、ああ、こういう選手なのか、くらいの印象だったけど、本当にすごくなった」
大住「彼自身に浦和移籍にあたって決意があって、変わったような感じがするよね」
後藤「もともと浦和ファンだったんでしょ?」
大住「そうそう、埼玉の子だからね。前は頑張ることが前面に出ている選手だったけど、本当に上手になった」
後藤「あらゆるポジションができちゃうというのはすごいよね」
大住「左右のサイドバック、ボランチ、ウィング、トップ下」
後藤「それで一番点を取っているんだから」
大住「休みなく試合に出て、誰よりも走って、ね」
■「補強は必要」なぜ呼び戻さなかったのか
――それでも浦和の優勝争いは難しいでしょうか。
大住「何かこう、まだ完全に信用できない感じがするんだよねえ」
後藤「マチェイ・スコルジャ監督は、いろいろなことを考える人だよ」
大住「でも、やはり点を取る人がいないというのが大きな問題なんだよね」
後藤「今まではクラブ・ワールドカップが浦和全体にとって相当大きな部分を占めていて、Jリーグの勝負と並行しながら準備を進めていた。Jリーグだけに集中できるようになった現状では、少し今までと違うやり方をするかもしれない」
大住「でも、やはり補強は必要なんだよね。CFもそうだけど、特にサイドバックとCBかな。CBは最低限、もう1人は必要。なんでアレクサンダー・ショルツ(今夏、FC東京に移籍)を呼び戻さなかったんだろう」
後藤「浦和は選手をたくさん買ってくる割りに、すぐにいなくなっちゃうよね」
大住「チアゴ・サンタナは大きく期待にそぐわなかったけど、ストライカーに関しては、当たり外れは仕方ない気がする。でも、良いストライカーを買ってくるという気概が、必要なんだよね。優勝を狙うなら、ストライカーを買ってこないとダメなんだよ」
■ヨーロッパ代表クラスを「買うしかない」
後藤「クラブ・ワールドカップの出場給で、お金はたくさん入ってきたわけでしょ。それをうまく使って…」
大住「いや、今季が始まる前に、けっこう使っちゃっているんだよね」
後藤「じゃあ、国債を発行するしかないね。浦和債か」
大住「本当にヨーロッパの代表クラスのストライカーを買ってくるくらいの気概がないと、優勝は難しいと思うよ」
後藤「Jリーグ全体として、それくらいのことをしていかないと、世界から取り残されていくよね。日本人の優秀な選手がこれだけすぐにいなくなっちゃう時代なんだから。出ていく選手に代わる選手を買うしかない」
――リーグ全体で、夏の補強も動き出していますね。
大住「もっと活発でいいと思うけどね。残りのシーズン残りをどう戦うかを考えた時に、選手が必要なポジションは必ずあるはずなんだよ。そこを的確に補強できれば順位は上がっていくだろうし、できなければ下がっていく。浦和にはけっこう期待もしている反面、危うさも感じている。今の順位から下げていく恐れは十分にあるよ。スコルジャは本当に良い監督だけど、プレーするのは選手だからね」
後藤「2023年シーズンが終わった後で、スコルジャ監督がいったんチームを離れたのが痛かったよね。あのまま彼がつきあっていてくれていればなあ」