(22日、第107回全国高校野球選手権宮城大会準々決勝 東陵6―5利府) 利府の中沢章輝投手(3年)が最後の夏につけた…

 (22日、第107回全国高校野球選手権宮城大会準々決勝 東陵6―5利府)

 利府の中沢章輝投手(3年)が最後の夏につけた背番号は20。ベンチ入りできるメンバーで一番大きな数字だ。昨春は公式戦で先発も経験したが、制球力が課題で、昨夏と秋は不調とけがもあって公式戦メンバーから外れた。

 間橋康生監督から「走らないと変われない」と説かれた。近所の神社の階段を繰り返し往復し、下半身を強化した。

 冬を越え、球威が上がり、制球力もついた。監督から「3年生の意地を見せた」と評価された。努力でつかんだ背番号だった。

 エース佐藤堅志投手(3年)は20日の3回戦を151球完投。監督は準々決勝の先発を中沢投手に任せた。

 先発が1、2年生主体の若いチームにあって、3年生の思いを背負った。大会前、帽子のつばの裏に3年生の名前の一字を手書きした。ピンチの場面で自然と目に入り、「全員で戦っている気持ちになれて心強かった」。

 1点リードで迎えた五回。ピンチで相手3番に高めの直球を投げた。空振りを取るつもりの「一番自信のある球」。だが3点本塁打となった。チームは八回に1点差に迫ったが、及ばなかった。

 「三振でチームを盛り上げる」と意気込んで臨んだ一戦だけに、試合後は、「負けた原因は自分にある」と悔しさをにじませつつも、「全力でやりきった」。表情は晴れやかだった。(三村悠)