(22日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会準々決勝 平塚学園4―5横浜) 選抜王者をあと1球まで追い詰めた。 4―…

(22日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会準々決勝 平塚学園4―5横浜)

 選抜王者をあと1球まで追い詰めた。

 4―1で迎えた七回裏。平塚学園は横浜に1点を返され、なお1死二塁のピンチ。山口禅(2年)が継投した。「相手がどこでも関係ない。俺が勝たせる」

 140キロを超える直球が武器だ。強気の投球で続けて外野フライに打ち取った。八回も最少失点で切り抜けて、1点リードで最終回を迎えた。

 1死一、二塁から為永皓(3年)に右前打を許したが、右翼手の好返球で二塁走者は本塁タッチアウト。勝利まであと1人となった。

 2死二、三塁で対峙(たいじ)するのは横浜の主将の阿部葉太(3年)。全国屈指の好打者だ。

 満塁策はとらず勝負に出た。八木崇文監督は「(満塁策は)押し出しもあり得る。阿部を抑えて甲子園に(行きたい)」と敬遠を指示しなかった。

 山口は振り返ってスコアボードを見て、大きく深呼吸した。「アップアップしていたが、リセットできた」

 カウント3―2からファウルが続く。8球目に投じた内角高めの直球を右越えに運ばれた。打球の行方を見ると、ひざから崩れおちた。

 「最後の1球は悪くなかった。でも、打たれたということは何かが足りない」

 1998年以来となる甲子園の夢は次のチームに持ち越された。「足りなかったものを見つけて、成長して夏に帰ってきます」。泣きはらした目で打倒横浜を誓った。(中嶋周平)