<2025年全国高等学校野球選手権奈良大会:畝傍10-6高田>◇21日◇3回戦◇さとやくスタジアム 春に智弁学園を7回コ…

<2025年全国高等学校野球選手権奈良大会:畝傍10-6高田>◇21日◇3回戦◇さとやくスタジアム

 春に智弁学園を7回コールドで下した畝傍が逆転勝ち。10年ぶりの8強進出を果たした。

 今年の畝傍には140キロ台の速球を投げる右腕が2人いる。それが最速140キロのエース・木村 昌哉投手(3年)と最速143キロの髙岸 彰良(2年)だ。

 この日は木村が先発。勢いのある速球を投げていたが、初回に2点を先制されると、3回裏には3連打を浴びて、3回途中5失点で降板した。

 良い時を100とした場合、この日の出来は「30~40だった」と語る木村。決してボールの質が悪かったようには見えなかったが、「真っすぐをしっかり対策していると思いました。空振りが少なくて、しっかりミートしていました」と高田の打撃が木村の投球を上回る形となった。

 3回途中からは髙岸がリリーフ。4回表にソロ本塁打を浴びたが、それ以降は粘り強い投球で流れを呼び込むべく奮闘する。

 すると、3対6と3点を追う7回表、一死二、三塁から2番・上島 涼介内野手(3年)の左前適時打で1点を返し、流れが畝傍に傾いた。

 さらに一死満塁と一打同点のチャンスで打席に立つのが4番の山本 卓和(3年)。「自分で決めてやろうという気持ちで打席に入っていました」という山本は1ストライクからの2球目を捉え、センターの頭上を越える2点適時二塁打で同点に追いつく。さらに一死二、三塁から5番・前 哲平内野手(3年)の中犠飛で勝ち越しに成功した。

 その後も畝傍はリードを広げ、10対6とする。だが、8回裏は高田も意地を見せ、無死満塁のピンチ。「ドキドキでしたが、必死に投げていました」という髙岸はここでギアを上げた。最初の打者からスライダーで空振りを奪うと、続く打者を浅い中飛に打ち取る。最後はストレートで空振り三振に打ち取り、窮地を乗り切った。

 苦しい試合をものにした畝傍。「最後はひっくり返してくれると信じていましたが、後半に集中力を切らさずに頑張ってくれたのが良かったです」と雀部 尚也監督は選手の頑張りを讃えた。

 厳しい展開になっても勝ち切れるのは強いチームの証。春の結果は決してフロックではない。