(21日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会3回戦 帝京大可児1―0大垣日大) 0―0で迎えた九回。完璧に近い投球を…

 (21日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会3回戦 帝京大可児1―0大垣日大)

 0―0で迎えた九回。完璧に近い投球を続けていたエースの中野翔真投手(3年)だったが、不運な当たりも出て2死一、二塁のピンチ。初球を見送られ、2球目に投じた変化球は「上ずってしまった」(中野投手)。打球は快音とともに中越えのサヨナラ適時打になった。

 捕手の西河遥人主将(3年)は「相手は外角を狙っていた。観察できていなかった」と反省しつつ、「自分たちの持ち味を出した試合ができたと思います」と振り返った。

 昨秋の東海大会を制して春の甲子園に出場。中野投手とは西日本短大付との初戦でもバッテリーを組み、堂々と戦った。

 だが甲子園以降、試合で勝ち切れない苦しい日が続いた。春の県大会ではこの日と同じ帝京大可児に初戦で敗れた。

 「みんな結果にこだわり過ぎていた」と西河主将。「一球に魂を込めた泥臭い野球」をもう一度突き詰めるべく結束を図り、走り込みを強化するなど立て直しを進めてきた。

 中野投手とは、映像を見ながら配球の研究を続けた。入学当初は寮で同部屋。「何を考えているか分からないような性格で、ぶつかることもあった。でも野球の話になったら目の色が変わる。そういうところが好きなんです」。

 この日の中野投手はスライダーが切れ、球も力強かった。「3年間受けていて1番良かった。球に思いがこもっていました」

 中野投手も西河主将を信頼して投げた。「最後は『悔いのない球を投げろ』と言ってくれて、それで腕が振れた。人柄が良く、チームがバラバラだった時もしっかりまとめてくれました」と振り返る。

 大垣日大の2年ぶりの夏の甲子園はならなかった。西河主将は「高橋(正明)監督に甲子園1勝というプレゼントを贈りたかった。何かが足りなかったんだと思います。下級生にはそこを突き詰めて来年絶対に高橋先生を甲子園に連れて行ってほしい」(高原敦)