(21日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会決勝 佐賀北3―0北陵) 初の甲子園出場を目指した北陵は、最後に力尽きた…

 (21日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会決勝 佐賀北3―0北陵)

 初の甲子園出場を目指した北陵は、最後に力尽きた。守りからリズムをつくるチームを支えてきたのが、捕手の武富一暁選手(3年)だった。「決勝で戦うところまで来られた。最後まで思い切り楽しめた」

 北陵は同学年の吉武開登投手、加々良慧人投手の2人の左腕リレーで勝ち進んできた。準決勝までの4試合で計5失点。武富選手は、「打者を見る目がある」と浦田豪志監督も認める巧みなリードで2人を支えてきた。

 ムードメーカーで力強い直球を繰り出す吉武投手、落ち着いた性格で打たせて取る投球が持ち味の加々良投手。1年生の頃からタイプの違う2人の球を受け続けてきた。「サインに首を振ったことはない」(吉武投手)、「自分が力んでいる時にいつも冷静に声をかけてくれる」(加々良投手)と2人からの信頼も厚い。

 この日も2人はサインを信じて最後まで粘り強く投げてくれた。だが、最後まで打線が援護できなかった。2点差で迎えた四回1死一、二塁で打席に立った武富選手も、バントのミスで走者を送ることができなかった。

 「この回のミスには悔いが残る」としつつ、試合後の表情は晴れやかだった。「2人とずっと一緒にやってきた。自分を信じてくれた2人とここまで野球ができてよかった」(山本達洋)